社外秘

IDEATECH 理解のための総合レポート

事例コンテンツを書くすべての人へ

作成日
2026年9月15日
作成
IDEA AGENT(社内AIエージェント)
想定読者
IDEATECHに新しく加わり、事例コンテンツ制作を担うライター

本レポートの取り扱いについて

本レポートは、IDEATECHの社内ナレッジベースに蓄積された実際のクライアント議事録・社内会議記録を一次情報として作成しています。具体的には以下を参照しました。

情報源 内容 規模
CSナレッジベース(tl;dv文字起こし) クライアントとの定例MTG・提案・キックオフの全文記録 262社・752件・約2,840万字(2024年5月〜2026年5月)
同・専務取締役 競仁志の発言 上記のうち競の発言のみを抽出したもの 約18,000発話・約670万字
社内共有ドキュメント LLMO論文リサーチ(2026年6月)、LLMOダッシュボードB2B化検討(2026年5月)ほか
ブランド素材・コラム企画メモ ロゴ規定、外部発信コラムの骨子

実在するクライアント企業名・担当者名・金額・戦略が多数含まれます。本レポートは社外秘です。 事例コンテンツの執筆にあたっては、ここに書かれた情報をそのまま外部に出すのではなく、「IDEATECHという会社の思想と構造を理解するための背景資料」としてお使いください。クライアント固有の情報を記事に用いる際は、必ず当該クライアントの許諾フローを通してください。

本レポート作成にあたっての注記

ご依頼には「競仁志が話した内容の文字起こしを一次インプットとする」とありましたが、その文字起こしファイルは受領できていません(メッセージに添付されていませんでした)。

そのため本レポートは、社内ナレッジベースに蓄積されている競仁志の実発言(約18,000発話)を代替の一次インプットとして構成しています。これは単発の文字起こし1本よりもむしろ情報量が多く、かつ2年間の思考の変遷まで追える利点があります。ただし、ご想定の文字起こしに固有のトピック(たとえば特定の新方針の発表など)が抜けている可能性はあります。当該ファイルをご共有いただければ、差分を反映して改訂します。

なお、本文中の引用はすべて実際の議事録からのものです。引用箇所には〔クライアント名/YYMMDD〕の形式で出典を付記しています。音声文字起こしのため固有名詞の誤変換(例:「アイデアテック」「アイディアテック」の揺れ、「リサピー」→「リスタピー」「リサピ」等)が含まれますが、読みやすさのため明らかな誤変換は補正し、発言の趣旨は変更していません。



第1章 IDEATECHという会社 — 15年の軌跡

1-1. 一行で言うと何の会社か

IDEATECHを一行で説明するなら、「BtoB企業のために、世の中の“空気”を動かすコンテンツを作り続けてきた戦略PRの会社」です。

調査会社ではありません。広告代理店でもありません。SEO会社でもありません。この区別は、この会社を理解するうえで決定的に重要です。競仁志自身が、初対面のクライアントに対してほぼ毎回この整理から入ります。

「会社自体は、ずっと戦略PRをコンサルティングしている会社になっていて、その調査会社でもなければ、調査会社ではないです。どっちかというと、ほんとPR目線で企画を作っていく会社になってます。これを十五年以上行ってきておりますと。」

〔ミイダス/260413〕

ここで言う「戦略PR」とは、自社商品の良さを叫ぶことではありません。その商品が売れるような「世の中の前提」を先に作ってしまうという考え方です。第2章で詳述しますが、この一点を理解すればIDEATECHのサービスはすべて説明がつきます。

1-2. 沿革 — PRコンサルティングから始まった

議事録から確認できる範囲で、IDEATECHの歩みは次のように整理できます。

【第1期】戦略PRコンサルティングの時代(創業〜2019年頃)

創業は2010年前後。BtoB領域に特化した戦略PRのコンサルティング会社としてスタートしました。

「うち一応、2010年創業してからずっとPRコンサルティングみたいな、まあ伴走支援みたいなやっていて、えっとPR戦略の立案を一緒にやったりとか、まああの各事業サービスとかの情報ヒアリングして、じゃあこれだったらこういうふうに企画ができるねとか、まあメディア向けにアプローチできるねですとか、プレスリリース自体をお引き受けして作成するっていう、まあ頭脳もそうですけど手足としても使っていただくみたいなものはずーっとやっていたりはします」

〔議事録より〕

この時期の仕事は、クライアントに伴走し、PR戦略を立て、メディアにアプローチし、プレスリリースを書く——きわめて属人的で労働集約的なものでした。しかし、ここで蓄積された「どういうネタなら記者が食いつくか」という嗅覚が、後のすべてのサービスの土台になります。

【第2期】リサピー®の誕生 — コンテンツのプロダクト化(2020年頃〜)

転機は、PR活動の現場で繰り返しぶつかった壁でした。

「PRの領域で、メディアとか社会の関心をどう引いていくかっていうふうに考えた時に、コンテンツがないと興味引けないよねっていうところから生まれたのが、じゃあこのリサピーというリサーチマーケティングっていうサービスだったり、白書コンテンツを作っていこうという(サービス)」

〔サイオステクノロジー/260122〕

つまりリサピー®は、「調査をやりたい」という発想から生まれたのではありません。「メディアに取り上げてもらうには、社会性のあるファクト(=データ)が必要だ」というPR現場の必然から逆算して生まれたサービスです。ここがマクロミルのような調査会社との決定的な違いです。

リサピー®は急速に伸びました。

「件数としてはサービス開始五年で五百社以上で二千五百件以上やってきておりまして、BtoB領域が特に強いというか、BtoB領域が結構メインで行っているような形です。」

〔ミイダス/260413〕

別の場面では「400社以上、もう450社」という表現も出てきます〔議事録より〕。BtoB領域における調査PRで、この件数は国内でも突出しています。

【第3期】コンテンツのフルラインナップ化(2023年〜2025年)

リサピー®の成功を受けて、IDEATECHは「PR起点のコンテンツ」を体系化していきます。

  • レポピー®(ガイドブック/レポート型コンテンツ)
  • ハクピー®(白書コンテンツ/2026年4月に正式ローンチ)
  • コラピー®(コラムPR)
  • X Questions(インタビュー動画コンテンツ)

さらに、PR単体ではなくマーケティング全体を見る「IDEAマーケティング」領域も立ち上がります。

「もともとはPRの会社、PR支援というのが一番最初にあった創業なんですけれども、今はBtoBのマーケティング支援ということが今日メインになってきて、PRもマーケティングも結局ミックスさせることが最も成果が出るというふうに我々は考えているスタンスなので」

〔議事録より〕

【第4期】IDEA LLMOへの舵切り(2025年夏〜現在)

そして現在。IDEATECHは会社として明確にAI検索対策(LLMO)へ舵を切りました。この意思決定の生々しい記録が議事録に残っています。

「アイデアテックというかうち自体も結構LLMをAIからの推薦を獲得するみたいなところでPRの重要性がより増したなって思ったんで、そこに結構舵を切る意思決定になったんですよね

〔議事録より〕

「かなり去年の夏からだいぶ練り込んでですね、あの、資料も割と毎日ぐらいアップデートしてるんですけれども」

〔議事録より〕

2025年夏から練り込みを始め、2026年初頭にサービス提供を開始。2026年4月には「だいぶもう固めて、今サービス提供も開始した」〔国際航業/260402〕という状態になっています。

1-3. なぜLLMOへの転換が「必然」だったのか

ここが重要です。IDEATECHのLLMO参入は、流行への便乗ではありません。15年やってきたことが、AI時代になって突然「正解」になったという構造です。

競は、この感慨をはっきり口にしています。

15年もやってきたことの中でPRが重要だってずっと言ったんですけど、理解してもらえなかった(が、AI時代になって状況が変わった)」

〔議事録より〕

なぜそう言えるのか。第4章・第5章で詳しく述べますが、核心は一点です。

生成AIは、企業の自社サイトよりも「第三者ドメインに書かれている情報」を強く参照する。

第三者メディアに載る情報を作り続けること——それはまさにPRそのものです。SEO業界が「自社サイトをどう最適化するか」を15年やってきたのに対し、PR業界は「第三者にどう語らせるか」を15年やってきた。AI検索の時代に効くのは後者だった、というわけです。

「これすなわち、あの、私の感覚だと戦略PRそのものだなというふうに思ってまして」

〔ミイダス/260413〕

この「15年の蓄積がそのまま武器になる」という確信が、IDEATECHのLLMOサービスの説得力の源泉です。そして、ライターであるあなたが書く事例コンテンツは、まさにこの武器の一部になります。

1-4. 自社を実験台にしている会社である

IDEATECHを理解するうえで、もうひとつ押さえておくべき文化があります。自社を最初の実験台にするという姿勢です。

「アイデアテックでも、あの、特にGeminiが結構強いんですけど、「調査PR会社でおすすめ教えて」っていう風にすると、多分当社のアイデアテックという社名か、リサピーっていうのが出てくると思います。」

〔議事録より〕

「他はベクトルさんとか、マクロミルさんとか、そういった名前が出てくることが多いんですけれども、その中でも、小さい会社ながらも、そういった会社とAI上ではやり合えていて、ポジションを確立していたりもします。」

〔ミイダス/260413〕

ベクトル(PR大手)やマクロミル(調査最大手)と並んでAIに推奨される——これは資本力では説明がつきません。方法論で勝っているという実証です。

そして、その方法論をクライアントに販売している。「自分たちで効果を確かめたものしか売らない」という順序が、この会社には一貫してあります。


第2章 競仁志の思考 — 「空気をつくる」という一貫した世界観

本章は、約18,000発話の議事録から抽出した、専務取締役・競仁志の思考パターンをまとめたものです。IDEATECHのコンテンツは、良くも悪くもこの思考を反映しています。ライターとして「何を書けば競に一発でOKが出るか」を知るための章だと思ってください。

2-1. 根底にある思想 — 「商品を叫ぶな、判断基準を作れ」

競の発言を通して、最も繰り返し、最も強い確信をもって語られるのがこれです。

「やるべきことは、自社の訴求ポイントとか魅力を、魅力とか訴求を激しくすることではなく、そもそも判断をこうすべきっていうところを自社に優位な形にして持っておくと。」

〔国際航業/260402〕

普通の会社は「うちの製品はここがすごい」を叫びます。競はそれを否定します。代わりにやるべきは、「そもそも、この種の製品はこういう基準で選ぶべきですよね」という“選び方”のほうを世の中に定着させることだ、と。

なぜなら、その基準さえ定着すれば、あとは自動的に自社が選ばれるからです。

要は強みの裏側を、強みを判断軸の中に紛れさせる、判断軸とすることができれば、めちゃくちゃ選ばれやすいじゃないですか。だってこの軸通りに選んでいったら、勝手にエネガエルに行き着く、勝手にリサピーに行き着くって話になっちゃうんで。」

〔国際航業/260402〕

競はこれを「ルールメイク」と呼びます。自作の用語です。

「今の選定基準ルール、これはルールメイクっていう風に僕らは言ってたりする、あの僕がちょっと言葉作ったんですけど、ルールメイクっていう風に言っていて、AIに優位なポジションをひたすら覚え込ませて

〔給与アップ研究所/議事録より〕

ルールメイクの実例:IDEATECH自身のケース

競がクライアントに説明するとき、必ず自社の事例を見せます。

「調査PR会社のおすすめを教えてって言った時に、うちが出てくるんですよね。で、出てくるんですけど、えっと、ここに調査PR会社を選ぶポイントっていうのがありますと。で、普通調査PR会社を選ぶって言った時に、PRなんで企画力、メディアに強いか、あとは調査品質とか、まあコストが安いか、一般的な選択条件ってそれだと思うんですけど、(実際にAIが挙げるのは)「アンケートを取って配信するだけじゃなくて、基準を備えているか」「AI検索ができるか」「二次利用の提案があるか」、パネルの質。最後のパネルの話はあの一般的な常識だと思うんですけど、上二つって普通じゃ出てこない基準だと思ってるんですね。普通に考えたらこんな基準って出てこない。(中略)これはまあうちがルールメイク的にいろいろ発信しまくってるんで、あの、これとこれが基準としてあって、で、案にこれとこの基準を満たしているのがアイディアテックっていう風になってると推定できるんですね。」

〔キッカケクリエイション/260513〕

これは極めて重要な証言です。「AI検索に対応できるか」という、本来なら調査PR会社の選定基準に入るはずのない項目が、AIの回答に現れている。 それはIDEATECHが発信し続けた結果、AIがその基準を学習したから——という推定です。

自社に有利な「土俵」そのものを作る。これがIDEATECHの中核思想です。

2-2. ルールメイクを使い分ける判断軸

ただし競は、「常にルールメイクせよ」とは言いません。ここに彼の思考の精緻さがあります。人材紹介会社キッカケクリエイションの佐藤氏との議論が、この使い分けを最も明快に示しています。

独自のポジションが築けそうな領域、かつマーケットからプロンプトベースで受け入れられそうな領域は、自社の強みだけで考えればいいと思います。なぜかというと、横並び視線で考えた時に、すでに独自性を有しており、かつマーケットからそれを受け止められるのであれば、それはもう自社強みを磨き込むでいいと思ってますと。 一方で、横並びのプロンプトを叩いた時に、横並びの基準がきっと出ちゃうなあ。そしてそこでは、例えば業界じゃ四番手五番手ぐらいになっちゃうなというプロンプトがあるとします。(中略)そこさすがに勝てないよね、難しいんじゃない?っていう風になった際には、ルールメイクをした方がいいと思ってます。」

〔キッカケクリエイション/260513〕

そして、ルールメイクをしない場合のリスクを明確に警告します。

RTBを追求していった結果、レバテックと強みがほとんど同じになってしまうみたいな状態。まあその他とほとんど同じ状態になってしまうっていうのが一番避けたいと思っています。なぜかというと、当然レバテックの方が資本もあらゆる所で投下量が違うので、全部分析したとて、そっち側に吸収されてしまって、結果的に推奨具合が弱くなるっていう可能性があるからです。」

〔キッカケクリエイション/260513〕

強みを正直に並べた結果、業界最大手と同じことを言ってしまう。するとAIは資本力のある最大手を選ぶ。——これがLLMOにおける最大の罠だ、というのが競の見立てです。

だから、勝てない土俵では土俵そのものを変える。

「そこじゃもう難しいよねってなったら、ルールを歪ませにいかないといけない。ちょっと言葉悪く言っちゃうと、歪ませにいかないと勝てないので、ルール自体をねじ曲げるルールメイクを入れて、自分たちに有利な土俵を作る、こんな発想が必要だと思っています。」

〔キッカケクリエイション/260513〕

2-3. 「VS構造」— 強みは相対的にしか存在しない

競がしばしば持ち出すのが「VS構造」という概念です。

自社の強みって相対的なもの。もう強い弱いって相手がいない限り、強いか弱いかって評価ができないから、VS構造って(勉強会でも)お伝えしました。VSどこに取るのか次第で全部強みと弱みみたいなのが変動しちゃうんですよね。」

〔キッカケクリエイション/260513〕

そして、この「VS」の相手は競合他社だけではない、という発想の飛躍があります。

「競合だけじゃなくて、やらない・行動を起こさないこともVS構造にできる。(中略)だからあらゆるところでこれルールを作れたりするんですね。」

〔国際航業/260402〕

「A社 vs B社」だけでなく「導入する vs 何もしない」「外注する vs 内製する」「ツールを使う vs Excelで済ませる」——これらすべてが、ルールメイクの舞台になる。この視点は、事例コンテンツの切り口を考えるときに極めて有効です。

2-4. 「空気をつくる」— 戦略PRの本丸

競の思考の源流は、戦略PRの古典的な発想にあります。M&Aキャピタルパートナーズとの議論で、クライアント側が競の教えを復唱する場面があります。

(クライアント)「きそさんから教えてもらったあのPR戦略の中にも書いてあったんですけど、(中略)まず最初スタートが、ブランド同士の競争は「買う」っていう空気を作る、理由を作る。これがまず大事だよねっていうところで。(中略)いいM&Aの社会常識を作るとか、いいほにゃららの再定義をする

〔M&Aキャピタルパートナーズ/260519〕

「正しいM&Aとは何か」を再定義し、その定義に自社が最も合致するようにする。これは第2章冒頭の「ルールメイク」と完全に同じ構造です。ルールメイクとは、戦略PRの「空気づくり」をAI時代に翻訳したものにほかなりません。

2-5. 数字・ファクトへの徹底したこだわり

競がコンテンツに求める第一条件は、常に「ファクトがあるか」です。

「AIが好きな情報として、それこそ数値、統計、根拠、あの、調査もそうですし、コラムでAIを回しているものも、まあファクト中心に作っているっていうところで、まあだから多分受け入れられてると思うんですけど」

〔国際航業/260402〕

これは単なる好みではなく、後述する学術的根拠(付録B)に裏打ちされています。GEO研究では、統計データの追加で生成AIでの可視性が+32%、専門家引用で+41%向上することが示されています。

2-6. 「泥臭さ」を肯定する

競は、PRが時間のかかる仕事であることを隠しません。クライアントへの説明でも、繰り返し「時間がかかる」と正直に伝えます。

PRは時間がかかることなので、最初に、ネタを作るっていうことがまず第一ハードルになってきておりますが、九ヶ月目、ご支援に入らせていただいて九ヶ月経って、結構その事例の生成とか、各企画の生成とか、御社内内部でのオペレーションみたいなのもできてきているなと思っている」

〔ウィルゲート/260514〕

「1年間、つまり月に12回ぐらいやっていくと、そのうちのどこかで反応が出るっていうことは全然あり得ると思います。そういうちょっと草の根っていうか割と泥臭いんですけど、それをやっていくと成果出ると思います」

〔給与アップ研究所/議事録より〕

そして、量が質に転化する瞬間について、独特の表現をします。

「なんか空気が変わるとか風向きが変わるという、すごく曖昧な表現でしか伝えられないんですけど、でも20回ぐらいやっぱり本数出すと、どのお客様も「なんかちょっと顧客の質が変わった」とか「社内が動いた」とか、いろんな副次的な効果をおっしゃっていただくので、これが本当の意味でのコンテンツを通じたブランディング、リーダーシップ戦略かなとは僕は思ってるんですけどね」

〔シムトップス/241206〕

「20本」という閾値。これはライターにとって重要な数字です。事例コンテンツもまた、1本や2本では何も起きない。蓄積が閾値を超えたとき、はじめて「空気が変わる」。第5章で述べるAIへの効き方も、まったく同じ構造をしています。

2-7. AI時代の人文知への感度

やや余談ですが、競の視野の広さを示すエピソードとして記録しておきます。

「やっぱAI時代で、なんか問いとか哲学とか構造とか歴史みたいな、まあ古典ラジオとか僕結構好きで聴いてるんですけど、あの人文知とか、あの辺がにわかにブームっぽい感じに今なってるんですよ。で、アイデアテックも今BtoBのデジタルマーケティングの歴史コンテンツみたいなのを実は作っていたりしていて、なんか今すぐ役立つっていうのはAIに聞けばいいよねっていう空気になっていて、もっと深みがあるものを、特にホワイトカラー、デスクワーカーとか知的インテリジェントワーカーみたいな人たちは求めてきている傾向に多分あります、空気として。故に多分受けるムーブメントだと思いますね。」

〔ウィルゲート/260514〕

「即効性のあるハウツーはAIに代替される。だから人間が書くべきは、歴史・構造・哲学を含んだ深いコンテンツだ」——これは、ライターの仕事の未来にも直結する洞察です。

事例コンテンツもまた、単なる「導入の成功談」で終わらせず、「なぜその課題が生まれたのか」「業界構造としてどういう意味があるのか」まで踏み込めば、AIにも人間にも刺さるコンテンツになる。 競の思考はそこまで見ています。


第3章 サービス全体像 — リサピー/レポピー/ハクピー/コラピー

3-1. 全体マップ

IDEATECHのサービスは、大きく3つの事業領域に整理されます。

「(1つ目が)リサピーというもの、あとはそれをレポートに落としたものだったり白書に落としたものだったりというのでいくつか展開しております。X Questionsというのはインタビュー動画の撮影をさせていただいてそれをコンテンツにするものといったようなサービスになっています。なので独自ツールを活用した動画・記事・資料の企画から制作までっていうのがこのコンテンツ事業のサービスになっています。で3つ目がアイディアマーケティングですね。こちらはマーケティングの戦略立案からセミナーの設計だったり、運用広告全般みたいな戦略のところのサポートだったり、あとはPRマーケティング施策の全般ですね」

〔議事録より〕

領域 サービス 一言でいうと
PR/戦略 戦略PRコンサルティング 15年の本業。PR戦略立案・メディアアプローチ・リリース代行
コンテンツ リサピー® 調査を使ったPR手法(調査リリース・調査レポート型)
レポピー® ガイドブック/レポート型コンテンツ(読み物)
ハクピー® 白書コンテンツ(業界の見解・将来展望)
コラピー® コラムPR(調査データを組み込んだコラム)
X Questions インタビュー動画コンテンツ
マーケティング IDEAマーケティング 戦略立案・セミナー設計・広告運用
AI対応(新) IDEA LLMO AI検索対策(コンサル+モニタリング+実行支援)※第4章

「ピー」は「PR」に由来する共通接尾辞で、リサ(リサーチ)+ピー、レポ(レポート)+ピー、ハク(白書)+ピー、コラ(コラム)+ピーというネーミング体系です。すべて登録商標。ただし社内・商談の場では「リサピ」「レポピ」と短縮されることも多く、議事録では表記が揺れています。


3-2. リサピー® — 主力サービス

何をするサービスか

リサピーという調査を使ったPR手法ということになっております」

〔ミイダス/260413〕

リサピーという調査レポート型の調査PRとか調査リリースっていうふうに呼ばれるもの

〔議事録より〕

具体的には、企画設計 → 調査票作成 → スクリーニング調査 → 本調査 → 集計 → プレスリリース原稿作成 → 配信までを一貫して行います。SmartHR社との議事録には、この工程がそのまま記録されています。

「調査のやり方でいくと、まずスクリーニング調査を実施します。(中略)まず調査票の送付があって、フィードバック修正を御社と弊社で何度か繰り返して、調査票確定になればスクリーニング調査を開始します。スクリーニング回収で本調査開始、次が本調査の回収で御社にご共有。(中略)それをもとにプレスリリースの原稿に入るというようなイメージになります」

〔SmartHR/250212〕

なぜ「調査」なのか — 3つの理由

競はリサピーの価値を、明快に3点で説明します。

①データそのものが求められている

「マーケティングを考えるとか事業戦略を考えるって言った時に、データが欲しいという方たちがやっぱり多い。生のデータ、できる限り今の世の中、今この瞬間で、10月16日だったら鮮度が10月16日のデータが欲しいということで、調査データ自体が広くいろんな方に求められるようなコンテンツになっているというのが理由が一つ」

〔パロニム/241016〕

②フックとして強い

「タクシー広告でも、「こういう人たちは86%がこんな課題あり」みたいな、結構データで訴求して興味を引きつける、15秒とか30秒とかで引きつけるようなクリエイティブもあったりして。(中略)調査というものはすごく興味を引きつけやすい、読まれるものという特性を持っている」

〔パロニム/241016〕

③メディア掲載されやすい

「PRの目線でいうと、メディアの掲載が結構取りやすい。他のプレスリリースに比べてメディアの掲載がされやすいというような特性を持っています。社会性があるので」

〔パロニム/241016〕

この3つ目が決定的です。自社の新製品リリースは載りませんが、「調査でこういう実態が分かった」は社会性があるため報道価値が生まれる。PR会社が調査サービスを持つことの合理性がここにあります。

企画の作り方 — リスクヘッジという思想

リサピーの企画で最も特徴的なのは、「どんな結果が出ても記事にできるように設計する」という考え方です。SmartHRとの議事録にその実践が克明に残っています。

タレントマネジメントの地域格差を調べる企画で、クライアントは「地域差が出ないほうが望ましい」と言います。競側の川上は即座にこう応じます。

地域差が出た場合と出なかった場合の2パターンですね。もし出た場合でいくと、都道府県別のタレントマネジメントの認知度、導入率を調査(して)「主要都市ごとに見る顕著な地域格差の実態」というようなところ。もし出なかった場合でいくと、認知率、導入率ともに(東京が)トップ。その一方で地域間の差はわずかに留まりますよっていうところで見せていければ」

〔SmartHR/250212〕

さらに保険をかけます。

単純集計だけじゃなくてクロス集計もやってリスクヘッジはできそうだなというところは思ったりしますね」 「(レベル1〜5の)段階分けをして、「多くの企業はレベル3で留まってますよね」とか、あとは例えば広島だったらレベル1から2が多くて東京だったらレベル3とか4が多いっていうので、そこの地域差も出たら面白いかな」

〔SmartHR/250212〕

「調査は博打ではなく設計である」——これがIDEATECH流の企画切り口です。ライターとして事例を書く際も、この「どう転んでも見せ方がある」という設計思想は理解しておくべきです。

価格帯

議事録から確認できるリサピーの価格体系は以下の通りです(2025年時点、クライアントごとに割引あり)。

本数 標準価格 備考
1本 40〜50万円 キャンペーン時40万円
3本 105〜120万円 一括支払割引適用時105万円
6本 180〜210万円
12本 パッケージあり

〔シムトップス/250624 ほか〕

長期継続クライアントには20%オフなどの「御社価格」が適用されます。


3-3. レポピー® — ガイドブック型コンテンツ

何をするサービスか

競の説明が最も分かりやすいので、そのまま引用します。

「レポート型のコンテンツというようなものになっています。これ弊社だとレポピーというような商品。何かというと、かなりざっくり言ってしまうと書籍の簡易版としてご理解・イメージを持っていただきたいなというふうに思っています。まあ書籍の本当にチャプター1とか、そんなようなイメージですね。これは特徴としては調査とは異なって、データで淡々と示していくということではなくて、読み物として読んで、これを読んだ人が「うわっ、これ気づきに(なる)」(というもの)」

〔パロニム/241016〕

リサピーが「データ」なら、レポピーは「読み物」。リサピーが認知・拡散を狙うなら、レポピーは理解の深化と行動促進を狙います。

顧客に方向性を示し行動を促すといったところで、ガイドブック型の、弊社ですとレポピーといったサービスになっております」

〔議事録より〕

実例

LDKプロジェクト(民泊施設運営)の場合:

「インバウンドがかなり高まってきているので、「インバウンドに選ばれる民泊ガイド」っていうふうに、こういった形で、今のインバウンド、訪日外国人の旅行傾向、民泊の理由、そこから落とし所として民泊づくり、という形で、このLDKさんが持っているいわゆる独自のノウハウと、一般的に外から取ってきた市場の調査(を組み合わせた)」

〔議事録より〕

カルチャリア(組織コンサル)の場合:

「従業員幸福度」っていうキーワードをすごく大事にされていて、そのキーワードを盛り上げていきたいっていう話があったので、そもそも市場に定着していないこの「従業員幸福度」というのをブランディングというか見せていくために、そもそもこれって何なのかっていうのを読み物・ガイドブック型で「そもそも従業員幸福度とは」というところで作っていったもの」

〔議事録より〕

このカルチャリアの例は、第2章の「ルールメイク」がレポピーで実装された典型例です。「従業員幸福度」という言葉そのものを世の中に定着させ、その定義の中心に自社を置く。

リサピーとの組み合わせ

リサピーとレポピーを組み合わせて発注されるお客様が多いんですけれども、これマーケティング目的のところが結構メインなんですけれども」

〔議事録より〕

「リサピーとレポピーが組み合わさるケースもコンテンツ作りであったりするんですけど、その場合は、(クライアントが)すでに持っている内部データ、世の中的に公表されているデータ、および今回リサピーで取るような独自データっていうのを組み合わせながらレポートの中に入れていくというようなのが多いです」

〔パロニム/241016〕

リサピーで「弾(データ)」を作り、レポピーで「読み物」に仕立てる。 これが最も多い組み合わせパターンです。

価格帯

本数 価格
3本 135万円(キャンペーン時100万円)
6本 216〜240万円
12本 384万円

〔シムトップス/250624 ほか〕


3-4. ハクピー® — 白書コンテンツ

何をするサービスか

2026年4月に正式ローンチされた、最も新しく最も高単価なコンテンツサービスです。

ハクピーっていうサービスになるんですけれども、いわゆる白書を企業様向けに展開しているものになります。結構「白書」っていうふうに聞くと、割と総務省だったりとか自治体とかが出しているお堅いイメージのコンテンツだと思うんですけれども、これを企業さん向けに、割かし読みやすいように調査データを入れ込みながら作っているものになります」

〔リーディングマーク/250319〕

「企業がある特定の分野やテーマに関する現状や課題・対策などの展望を体系的にまとめた報告書を指しておりまして、成果と効果としましてはソートリーダーシップを生み出すことができる特定の市場や業界において解決策であったり、革新的なアイデアをいち早く示すことで、その市場や業界における指導者となることができるといった特徴がございます。」

〔ショッピージャパン/250910〕

レポピーとの決定的な違い

競自身が、この2つの違いを明確に言語化しています。ライターとして最も理解しておくべき区別です。

レポピーはガイドブック型になっていて、読者に寄り添った形ハクピーっていうのは、むしろ業界として「僕らがこうだよ」っていうふうに牽引性を誇示するものとか、業界団体とアクセスするときに、実は業界のことをたんまりまとめた、現場のDXに関するたんまりまとめたものとか、シムトップスとしての見解を、将来展望を含めた見解を出しているものでありますので、「業界の発展に貢献します」という位置づけになるので、結構変わってきますね、中身は」

〔シムトップス/250624〕

まとめると:

視点 目的 読後感
レポピー 読者に寄り添う 理解促進・行動喚起 「自分ごとだ、やってみよう」
ハクピー 業界を俯瞰し牽引する ソートリーダーシップ確立 「この会社は業界を分かっている」

実例

国際航業(太陽光・蓄電池シミュレーションツール):

「かなり競合も多い中で、「太陽光発電・蓄電システムの販売動向白書」というものを住宅用・産業用というふうに分けてこういうコンテンツを一緒に作ってまいりました。(中略)太陽光・蓄電池の市場の全体動向だったりとか、販売する上での課題はどんなところなのかというのを住宅用と産業用に分けて解説したり、実際購入者目線だとどういうふうな考えを持っているのか、最後経済効果シミュレーションによる効果というところで、最後この国際航業さんのツールに落とし込むみたいなイメージで作ったものになります」

〔リーディングマーク/250319〕

この「最後に自社ツールへ落とし込む」という構成は、白書型コンテンツの定石です。

Mer(Pipedrive代理店):

「最近この「なんとかOps」みたいなワードってかなり出てきてるかなというふうに思いますが、ここで「セールスOps白書」っていうところで、SFAの重要性であったりとか、日本と海外だとSFAに対してどういう認識のギャップがあるのかみたいなところをこの白書のコンテンツの中で解説して、調査データも入れ込みながら作っていった」

〔リーディングマーク/250319〕

国際航業では白書専用LPまで制作し、ダウンロード獲得の装置として運用しています。

「この国際航業さんとかだと、これ専用の白書LPを作ってダウンロードを増やしたりというところで取り組みされている」

〔リーディングマーク/250319〕

仕様と価格

PDFのページ数30ページから40ページの目安で作っていくようなものになっております。PDFで納品をしますというところで、編集データはイラストレーターで作るので、もしご希望の場合は(中略)別途お見積もりということになります。(中略)スケジュールとしてはだいたいキックオフから4、5ヶ月見ておいてもらえれば」

〔イー・コミュニケーションズ/250421〕

200万円が通常の金額帯なんですけど、ちょっと今プレローンチ・プレキャンペーンということで、実は4月に白書のハクピーというのをローンチ予定になってます。そこの先行でのご案内なんですけれども、キャンペーンとして金額を50万円分、25%カットでご提供させていただきます」

〔イー・コミュニケーションズ/250421〕

  • 標準価格:200万円(プレローンチ時150万円)
  • 納期:キックオフから4〜5ヶ月(既存クライアントで3ヶ月程度)
  • 納品物:企画構成設計/調査設計/調査データ/原稿/デザイン/PDF

セット販売

リサピー6本160万円、レポピー6本205万円、ハクピー1本200万円で565万円というのが通常の価格にはなるんですけれども、セット割引でさらに5%オフさせていただきます。(中略)536万円という価格ですね」

〔シムトップス/250624〕


3-5. コラピー® — コラムPR

最も新しく、かつLLMO文脈で急速に重要度を増しているサービスです。

コラピーっていうコラムPR」 「コラピーっていうのはコラムのものです

〔議事録より〕

調査データを組み込んだコラム記事を継続的に制作・発信するサービス。物流調査コラム、情報管理調査コラムなど、調査(リサピー)の二次利用として展開されるケースが多く見られます。

LLMO文脈での位置づけは明快です。

コラピーで対策していきましょう

〔議事録より〕

第5章で詳述しますが、コラムは「選定基準(ルール)」を埋め込む最適な器です。競がMACPに強く推奨したのも、まさにこのコラム型コンテンツでした。

noteの記事っていうのを、選定基準に関する、調査PR会社の費用と選び方、「なんとか重視する七つの基準」みたいな形。こういう風に七つの基準みたいな形で基準を埋め込むっていうルール作りをしていくというところを、まあコラムとして絶対にやっていただきたいこれ効果結構出やすい、特にGeminiは出やすいのでやっていきたい」

〔M&Aキャピタルパートナーズ/260519〕


3-6. サービス選択のロジック

どのサービスをいつ使うか。競の判断基準は「目的から逆算する」です。

あえて強調したのは、例えばPR・パブリシティを取りたいっていうんだったら別の企画になりますし、セミナーで使いたい、セミナー目的なら、また別の企画になった(りする)」

〔議事録より〕

顧客の検討フェーズ(潜在層/顕在層)に応じた使い分けも体系化されています。

「(データで気づきを与える)リサピーといったものになっております。その他、顧客に方向性を示し行動を促すといったところでガイドブック型のレポピーといったサービスになっております。こちらの2タイプによって(顧客の15のタイプのコンテンツを)網羅できるというふうに考えております。具体的に潜在層で言ったらどのような人たちなのかと申し上げますと、運用負荷や夜間対応の課題は感じているけれども、活用方法の具体的なイメージが全くできていないといったところですとか」

〔議事録より〕

顧客フェーズ 状態 効くコンテンツ
潜在層 課題は感じているが解決手段のイメージがない リサピー(データで「みんなも困っている」と気づかせる)
顕在層 解決手段を探している レポピー(方向性を示し行動を促す)
比較検討層 複数社を比べている コラピー+事例(選定基準と、それを満たす証拠)
業界全体への影響 ハクピー(ソートリーダーシップ)

この表の3行目「比較検討層」こそ、あなたが書く事例コンテンツの主戦場です。


第4章 IDEA LLMO — AI検索対策サービスの全容

4-1. なぜ「LLMO」と呼ぶのか

この領域には用語が乱立しています。GEO(Generative Engine Optimization)、AIO、AEO、AI検索対策……。IDEATECHは「LLMO」を正式呼称としています。

「今アイデアテックがすごく注力している領域として、AIからの推奨をいかに獲得するかっていう、まあいわゆるAI対策、LLMO、AI支援みたいな、用語いっぱいあるんですけど、とりあえずうちはLLMOっていう風に言っていて

〔国際航業/260402〕

キーワードは「AIからの推奨をいかに獲得するか」。SEOが「検索順位」を追うのに対し、LLMOは「AIに推薦されること」を追います。この違いが、以降のすべての方法論を規定します。

4-2. 大前提①:BtoBなら「対話型生成AI」一択

競がクライアント説明の冒頭で必ず行う整理があります。ここを混同すると議論が迷走するからです。

「AI対策で言った時に二つありまして、これ議論が錯綜することが多いんですが、AIオーバービューと対話型生成AI(ChatGPT、Gemini、Claude)がありますが、これ結論BtoBだったら対話型生成AI一択で対策を考えれば良いと思ってます。AIオーバービューはほとんど意思決定に影響を与えないので、対話型生成AIがベストで、AIオーバービューに出ればラッキーぐらいの方が考え方としては整理がされたりすると思ってます。」

〔議事録より〕

「なぜかというと、人の意思決定に影響を与えるのはこっち(対話型)であり、左側(AI Overview)は「ふーん、そうだよね」で終わりになるから、あんまり購買とか意思決定に影響を与えないからですね。」

〔国際航業/260402〕

4-3. 大前提②:「流入は少ないが、インパクトは大きい」

AI経由の流入は、検索流入に比べれば圧倒的に少ない。競はこの事実を隠しません。そのうえで、なぜ重要かを説きます。

「検索の時代からAIの時代になっていると、それはもうあるんですけど、流入の数とか圧倒的に検索流入の方が多いのは事実です。ただ、AIで事前に情報整理をして問い合わせが来たり、AIで認知して、そこから頭にぼんやりあって、何回か繰り返してAIに相談して出てきて問い合わせになるということで、大半に非常に近い(=確度の高い)問い合わせが来るっていう意味だと、AIっていうのは流入の数は少ないけれども、大きなインパクトを持っている。まず捉え方としてこれが正しいものだと思ってます。」

〔議事録より〕

そして、IDEATECH自身の実データで裏づけます。

「実際に働き(かけ)て、アイデアテックに問い合わせてきた売上1,000億円の会社さんがあるんですけど、上場企業で。決まりそうです、もう案件が。(中略)数は多くないものの、月に3件とか5件とかが来るとして、ここの商談って受注率が半分50%ぐらいは決まるのと、LTVも受注単価も高いんですよね。通常の何かしらの問い合わせよりも2倍から3倍ぐらい高いので、月10社AI経由で商談させてもらったら、もう売上結構立っちゃうっていう状態に多分なるなって思っていまして。これをですね、今アイデアテックではめちゃめちゃやってます。

〔給与アップ研究所/議事録より〕

AI経由のリードは、量は少ないが「受注率50%・単価2〜3倍」。 これがIDEATECHがLLMOに賭ける最大の実証根拠です。

4-4. 最も重要な発見 — 「見えない失注」

競がクライアントの経営層を動かすときに使う、最も強力なロジックがこれです。

「もちろんAI対策って言った時に「見つけてもらう」っていう観点もあるんですけど、これ最近本当に面白い事例で、取引検討時にAIで評価をするバイヤーが出てきてまして、RFPとかをAIに作らせて、何社かをAIに調べさせて、AIの総評みたいなのを出させるバイヤーも(いる)。(中略)興味を持って色々調べて問い合わせをする手前です。問い合わせをする手前でRFPが完成して、星取り表ができてて、AI評価が入ってるっていうこともあるんですよね。だからここで優位に出せればすごく問い合わせになりますし、逆にここで負け続けると「見えない失注」、営業すらさせてもらえず、見えない失注になっているっていうことも多分出てきているんだろうなというふうに思ってます。」

〔議事録より〕

別の場面ではさらに踏み込んで、その先の未来像まで語っています。

この使い方が一般的になるとどうなるかって、僕が想像してるのは、商談をする手前側で本当にほとんど決着ついちゃっていて、もう問い合わせが来るっていうのは「やること前提」で来てると。もうコンペとかもAI上で終わっちゃっていて、コンペも何社か話を聞くのも面倒くさい(という状態になる)」

〔議事録より〕

「見えない失注」——この一語が、IDEA LLMOの営業における最強のキラーワードです。従来の失注は可視化されますが、AI比較で落ちた場合、企業は失注したことすら認識できません。この恐怖が、決裁を動かします。

4-5. 核心メカニズム — なぜ第三者メディアなのか

LLMOの技術的な核心はここです。

生成AIの回答とか優先度みたいな話は、実は自社のドメイン情報より、第三者のドメインに発信されている情報の方が強いんですね。 メディア、note、PR TIMES、ZUU online、口コミサイト、どれも一社単独の情報発信ではなく、複数社の情報が発信されており、かつメディアだとちゃんと編集部がいて監査が入ってるっていうような状態になってます。一方で、自社情報は自分たちの情報しか発信しないという性質のもので、AIが好きなものはフラットな情報、できる限りバイアスがかかってなさそうな情報なんですね。逆に言うと、ポジショントークが嫌いだったりします。

〔議事録より〕

さらに具体的に、AIが回避する情報の型まで言及しています。

「さらにもう一つ、ポジショントーク。例えばハッシュタグPR記事とかスポンサードっていうのは、回避傾向にあるっていうのも出ていて、まあここから見えることとしては、AIはポジショントークが嫌いで、できるだけフラットな情報を集めているということがあります。」

〔ミイダス/260413〕

この主張は、2026年6月の社内論文リサーチで学術的に裏づけられました(付録B参照)。

「うちの核心ロジック『生成AIに引用されるには第三者メディア(earned media)が重要』は、2025〜2026の新しい研究でむしろ強化された。当時はマーケ業界の調査1本(Muck Rack『89%』)が頼りだったが、いまは学術論文がこの主張を裏付けるようになった。→ 訴求の"格"を上げられる(『業界調査によると』→『複数の学術研究が示すように』)。」

〔LLMO論文リサーチ_社内共有_2026-06.md〕

とくに Chen et al. (2025) は、ChatGPT/Perplexity/Gemini が earned media を自社サイトやSNSより圧倒的に優先する体系的バイアスを持つことを統制実験で実証しています。

4-6. AIに推奨されるための理論 — 「AIは基準がないと選べない」

第2章で触れた「ルールメイク」の、技術的な理由づけがここにあります。競はAIの推論プロセスから逆算します。

「AIが候補を選んできた時に、五社とか三社を推奨します。で、もちろん二十社あったとしたら、十五社は捨てられてる状態になっている。じゃあここに残るためにはどうすればいいのっていうのが論点になりますと。 で、僕らが考えているのは、この五社に残るように、AIに「エネガエルが素晴らしい」っていうことを覚え込ませるんじゃなくて、そもそも選定基準として「こういう会社選びはこういうことをすべきだ」っていう基準を作っていくことが有効だと思ってるんですね。 で、なんでかっていうと、AIも何か選定をするって言った時に、絶対に基準を持たないと優先度がつけられない。情報の取捨選択ができない。 じゃあどうするの?って言った時に、AIは人間と違って直感を持ってないので、インターネット情報の中から推論を立てないといけない。だとしたら、「どういう基準で優先度をつけていくべきか」というところに思いっきりヒットするようなコンテンツがあった方が、AIの認知を取りやすいだろうと。」

〔国際航業/260402〕

そして、決定的な一言。

で、多くのBtoBの会社さんはそういうことをやってないですね。

〔国際航業/260402〕

ここに空白地帯がある。 これがIDEA LLMOの事業機会です。

4-7. ポジショントーク回避の技術 — 調査で基準を「客観化」する

しかし問題があります。自社に都合のいい選定基準をコンテンツにすれば、それこそ「ポジショントーク」であり、AIに嫌われます。

この矛盾をどう解くか。ここにIDEATECHの独自性が集約されています。

「ただし、これだとAI、ポジショントークは基本AIって嫌いなので、フラットな情報を求めるんですよね。客観的でフラットな情報を求めるので、何をやってるかっていうと、「調査PRを外部に委託する際に最も重視する選定基準は何ですか?」っていう、こういう調査をリサピーで取ってですね、『自社の業界やテーマへの理解度がこれぐらい』『過去の実績、成功事例』とか、ここに書いてあることをちゃんと裏付けとしてますよ、だからこれが正しいんですよっていう風に示していたりします。」

〔国際航業/260402〕

論理構造を整理すると:

  1. 自社に有利な選定基準を設計する(ルールメイク)
  2. 「その基準が重要だ」と第三者(市場)が言っていることを、調査データで証明する
  3. → ポジショントークではなく「客観的事実」になる
  4. → AIが安心して参照・引用できる

リサピー®(調査)がなければ、この手が打てません。 IDEATECHがLLMO領域で他社と決定的に違うのは、「基準を客観化する道具」を自社で持っている点です。SEO会社にもPR会社にもこれはありません。

4-8. サービスメニューの構成

IDEA LLMOは3つのメニューで構成されています。

LLM、AI系のコンサルティングと実行支援というのが2つあって、コンサルティングで、どういう領域でどういうAIからの露出があったり、どんなプロンプトをターゲットとして狙っていくかっていう戦略の箇所ですね。どういう強みでどうやっていくかっていうことと、施策の提案っていうのをコンサルティングメニューがありますと。 あとはモニタリングですね。ダッシュボードを作って、いつでも成果計測ができたり、中間指標計測ができるようなものを構築したりしてます。 それと実行支援で、これは割と調査を軸、調査とかコラムとかコンテンツを作っていくことを軸としているんですけど、こういった実行支援もありますと。」

〔サイバートラスト/260414〕

メニュー 内容
① コンサルティング 戦略策定(狙うプロンプト設計/ルールメイク方針/RTB整理/施策提案)
② モニタリング 専用ダッシュボード構築・月次更新(4LLM×数十プロンプト/競合比較/サイテーション計測/GA連携)
③ 実行支援 調査(リサピー)・コラム(コラピー)・LP・ホワイトペーパー制作

価格

「うちが今このコンサルで結構ガッツリ入る場合は、金額60万円と45万円で分けていて、一応こういうAIからの推奨状況とか、Googleアナリティクスとか、コンバージョンが取れるデータとかも連携させてもらいながら、AI経由からどういう風になってるのかみたいな定量データとかビジネスインパクトにつながるようなことを一緒に組んでいくっていうのをやって、あとPR戦略の策定とか、まあこの辺が一応メニューである」

〔M&Aキャピタルパートナーズ/260519〕

月額60万円/45万円の2プラン(2026年5月時点の公開価格。個別見積あり)。

4-9. モニタリングダッシュボードの実際

IDEA LLMOの「目に見える価値」がこのダッシュボードです。M&Aキャピタルパートナーズへの提案では、クライアントが思わず「どうやってやったんですか?」と身を乗り出しています。

計測設計

プロンプトに関しては二十五ありまして、二十五掛ける四モデルで百のセルっていうふうにしています。」

〔M&Aキャピタルパートナーズ/260519〕

ChatGPT、Gemini、Copilot、Perplexityっていう各種四社の(回答を計測)(中略)「おすすめの仲介会社教えて」とか、いろんなので聞いていく

〔M&Aキャピタルパートナーズ/260519〕

ウイングアーク1stでは、さらに大規模になっています。

「(プロンプトを)結構五十六件ほど追加させていただいております」

〔ウイングアーク1st/260513〕

技術的な裏側はこうです。

これちょっといろんなシステムを実はつなぎ込んでいて、僕らがAPIの費用を払いながら実はモニタリングしてます。 もうコストを先に出しちゃってるんで、なんとかお願いします。」

〔M&Aキャピタルパートナーズ/260519〕

ダッシュボードの構成項目

ウイングアーク1stの定例から、実際の画面構成が分かります。

「まず一番上のここが三月の差分っていうことで、サイトの全体、GAの内容から引っ張ってきたり、AI流入の部分とかも出てます。(中略)サイテーションの件数っていうのは、Ahrefsを使ってるんですけど、(御社では)確認しづらいかなと思っていて、モーションボードのサイテーションの件数が増えました。(中略)で、「評点」っていうのは(中略)評点の定義とそれに基づいたスコアっていうのを出してます。それと流入の話とコンバージョンの話(中略)推奨状況の一覧っていうのがここに載ってまして」

〔ウイングアーク1st/260513〕

さらに、個別プロンプトの回答全文まで潜れます。

「設備異常をリアルタイムで検知通知できるBIツールは?」っていう風にプロンプトを入れた時に、「ChatGPTの応答全文はこんな感じで出ます」というのが書いてます。で、Geminiはこんな感じで出ますと。(中略)Copilot、Perplexity(も)」

〔ウイングアーク1st/260513〕

ダッシュボードの主要項目(整理):

セクション 内容
月次差分サマリー 前月比の変化(流入・サイテーション数)
サイテーション件数 Ahrefsで計測。被リンク/言及の増減
評点・スコア 独自の評価軸に基づくスコアリング
AI経由流入・CV GA連携。AI流入数とコンバージョン
推奨状況一覧 プロンプト×4モデルの言及マトリクス(◯/△=言及なし)
推奨状況詳細 各セルをクリックすると4モデルの応答全文
競合比較 競合各社の言及率(シェア・オブ・ボイス)
AIトピックス 主要AIニュース

アウトプットの実例:M&Aキャピタルパートナーズ

実際にどんな示唆が出るのか。競のサマリー報告がそのまま残っています。

「じゃあMACPはAIにどう認知されているのか。結論、中堅大型案件のオーナー経営者がこう聞いた際には「大型案件特化」って出ちゃってます。「少数精鋭」って出ています。「株価レーマン方式」っていう風に出ているっていうのが明確に言っていますと。で、僕的にはこの「大型案件特化」はいいのかどうなのかちょっとわからないなと思ったんで、ここら辺は多分戦略議論になりますと。 で、費用透明性の領域はやっぱり強くて、株価レーマン方式が業界例外で売り手有利っていう風に肯定的に紹介されているので、それはちゃんとAIからもしっかり分かってますというとこですね。 一方で、評判・担当者では「営業電話やDMがしつこい」みたいな、外部記事のネガティブ表現があるんで、ちょっと怖がっちゃうっていうのがAIに相談してると出ちゃうんですよ。これも課題です。 で、「専任契約は原則、他社比較は基本不可」っていうことをGeminiとCopilotは断定的に説明するんですよ。ChatGPTは違うんですけど(中略)もしかしたら複数社を比較したいと考えるターゲットは、初期相談のハードルがちょっと高いんじゃないかっていうこと。」

〔M&Aキャピタルパートナーズ/260519〕

さらに競合比較。

全体でいろんなプロンプトで今回計測しました。そしたらこんな言及の割合になっていて、M&Aセンターが四十七パーセントで一番多く、MACP四十一、ストライク三十六、M&A総研が三十五っていうような形になっているので、露出状況的には二位って感じになってます。」

〔M&Aキャピタルパートナーズ/260519〕

モデル別の強弱も出ます。

MACPはGeminiが一番強くて、Perplexityが弱い。(中略)オウンドメディアもやってらっしゃるんで、SEOとか含めると一番強いっていうところで、多分Geminiが強いというところです。(中略)ChatGPTに(中略)日本M&Aセンターが十六取っていて、MACPが十二なんで、ここでスコアが空いてるのは気になるところかなと」

〔M&Aキャピタルパートナーズ/260519〕

ペルソナ別モニタリングという発想

さらに高度なのが、ペルソナごとにAIの回答がどう変わるかを見るという手法です。

ペルソナAとペルソナBとペルソナCっていう風に一旦区分してみましたと。(中略)こういう従業員、こういう企業で、オーナー社長で後継者がいない、仲介会社を選ぶのは何を基準にしたらいいか分かりませんっていうペルソナをやって、で、この人が「M&A仲介の選び方で失敗するパターンを教えて」とか「選定ミスは?」「何を見落としてた?」っていうことを聞いていっている」

〔M&Aキャピタルパートナーズ/260519〕

結果、業界によってAIの評価軸がまったく変わることが判明します。

一方で今度「調剤薬局です」っていう風に言ったら、調剤薬局はやっぱこの業界特化型チームとか、調剤報酬制度への理解とか、薬剤師の雇用維持とか、もう全然違う基準なんですよ。今の中堅企業とか全く違う。」 「飲食(では)業界特化とか、人件費の評価とか、ブランド価値の継承とか、買い手ネットワークっていうのを大事にしてる(と出る)」

〔M&Aキャピタルパートナーズ/260519〕

そして、その空白地帯こそが打ち手になります。

飲食オーナーのいわゆる脳内候補のリストに大手仲介が入りにくい構造なので、業界特化チームの新設とか、成約事例のコンテンツ整備、そして調査結果をバンバン出していって、「M&A×飲食×MACP」っていうのを組み立てていく必要が多分ありそうっていうところでございます。」

〔M&Aキャピタルパートナーズ/260519〕

注目してください。「成約事例のコンテンツ整備」が、打ち手として名指しされています。 これが第5章の主題です。

4-10. LP量産という戦術

もうひとつ、LLMO特有の戦術があります。

ウェブのページも量産していきたいんですよ。具体的に言うと、例えば、うちだと『BtoBに強い調査PRサービス』っていう風にかなり区分を分けてるんですけど、『コンテンツマーケティングで使えるリサーチ』っていうものとか、調査PRっていう皮、仮面をかぶったりとか、いろんな仮面をかぶることができますと。 従来の考え方って、人間が視認する上だと、その一個のLPしかみんなサービスページって作らないんですけど、AIはできる限り細かく把握したいんで、本当は飲食特化型のMACPのサービスサイトが欲しいとか、建設特化型のサイトが欲しいとか、そういうのがあったりして。 (中略)その中に基準を埋め込むっていう、選び方のガイドを作って、調査データを入れることで、よりAIが「この基準が正しいんだな、こういう基準に基づいてちゃんとおすすめ会社を選定すればいいんだな、そしてその選定にはMACPが最も合致するんだな」っていうのを覚え込ませるようなLPなんです。」

〔M&Aキャピタルパートナーズ/260519〕

人間向けのLPは1枚でいい。しかしAI向けには、セグメント別に細かく分けたページが要る。 これはSEO時代の「コンテンツの重複」を嫌う発想とは真逆で、LLMO固有の考え方です。

4-11. モデルごとの効き方の違い

実務上重要な知見として、モデル別の反応速度の違いがあります。

「(ルールメイクは)基本的には全体的にいけるんですけど、モデルによって違いがあって、影響を受けやすいのはGeminiですね、一番早く。 僕らで実証している観測範囲でいうと。でもGeminiのユーザーってめっちゃ多いんで、やっぱりGoogle Workspace契約してるんで。(中略)で、次ChatGPTで、その次Claudeかなって感じですね。」

〔国際航業/260402〕

これ効果結構出やすい、特にGeminiは出やすいので」

〔M&Aキャピタルパートナーズ/260519〕

施策 → 反映の速さ:Gemini > ChatGPT > Claude。 一方で、購買意思決定への影響度はChatGPTが依然として大きい(とくに中小企業経営者層)というのが競の見立てです。

生成AIのツールとしてChatGPTとGeminiで結構群を抜いてこの二つって感じ。(中略)中小企業経営者は特にChatGPTを見てますっていう話になってますと。」

〔M&Aキャピタルパートナーズ/260519〕

4-12. 市場そのものを調査で可視化する

IDEATECHらしいのは、LLMOの営業においてすら「調査」を武器にしている点です。M&Aキャピタルパートナーズには、事前に中小企業経営者への独自調査を実施して持ち込みました。

M&Aとか事業承継を(AIで)調べたところ、具体的な企業名とかサービス名を提示されたことが、半分は調べたことがあって、半分が調べたことがない。なんで、全体の中小企業経営者のうち四割ぐらいは事業承継とかM&Aに関して(AIで)調べてるってことなんですよね。 (中略)だからM&Aの業界というか領域でも、このAI対策って、今は四割、でも来年は多分六割ぐらいになっていて、またどんどん増えていくと思ってるんですけど、やっておかないと、いつの間にか決まっちゃってるってことになりかねないっていうのは、まずやってみて面白かったところ。」

〔M&Aキャピタルパートナーズ/260519〕

クライアントの反応:

素晴らしい。もうこれだけでもやる価値ありますね。」 「これだからこれから絶対増えていくと思うんで。その数字が実際に証明されたと。」

〔M&Aキャピタルパートナーズ/260519〕

「AI対策が必要だ」という主張自体を、調査データで証明する。 これもまたルールメイクです。


第5章 ★なぜ事例コンテンツがAI検索対策(LLMO)に効くのか

本章が、本レポートの中核です。 あなたがこれから書く事例コンテンツが、IDEATECHの事業戦略の中でどういう位置を占め、なぜそれがAI検索対策として機能するのか。その因果構造を、メカニズムのレベルまで分解します。

5-1. まず結論 — 3行で

  1. AIは「良い会社」を選んでいない。「選定基準に合致する会社」を選んでいる。
  2. 選定基準に合致していることを証明する唯一の材料が、RTB(Reason To Believe=信じるに足る根拠)である。
  3. 事例は、RTBの中で最も「反証しにくく」「具体的で」「第三者性を帯びやすい」形式である。だから効く。

以下、この3行を分解していきます。


5-2. ステップ1:AIの推論構造を理解する

AIは「直感」を持たない

第4章で引いた競の発言を、もう一度、別の角度から読み直してください。

AIも何か選定をするって言った時に、絶対に基準を持たないと優先度がつけられない。情報の取捨選択ができない。 じゃあどうするの?って言った時に、AIは人間と違って直感を持ってないので、インターネット情報の中から推論を立てないといけない。

〔国際航業/260402〕

ここが出発点です。人間のバイヤーなら「なんとなくこの会社が良さそう」という直感が働きます。展示会で会った印象、担当者の雰囲気、ロゴの格好よさ。これらは非言語的な情報です。

しかしAIには、テキストしかありません。

「おすすめのBIツールを教えて」と聞かれたAIは、内部で次のような推論を強いられます。

① そもそも「おすすめ」とは何か? → 評価基準を定義する必要がある
② その基準は何を根拠に設定するか? → ウェブ上のテキストから抽出する
③ 各候補は、その基準をどの程度満たすか? → 根拠となる記述を探す
④ 根拠が見つかった候補を、確信度の高い順に提示する

この①〜④のすべてが、テキスト由来です。 そして重要なのは、②と③は別々の情報源から供給されるということです。

  • ②「基準」を供給するのが → ルールメイク型コンテンツ(選び方ガイド、〇〇の7つの基準、調査データ)
  • ③「根拠」を供給するのが → RTB型コンテンツ(実績、導入社数、そして事例

この2つが揃って、初めてAIは「推奨」に踏み切れます。 片方だけでは足りません。

基準だけあって、根拠がないとどうなるか

基準を作ることには成功した。しかし「その基準を満たしている」という根拠が薄い。この場合、AIは基準は採用しますが、その基準を満たす別の会社を推奨してしまいます。自分で作ったルールで、他社を勝たせることになる。

逆に、根拠(実績や事例)は豊富だが、その根拠が評価される「基準」が世の中にない場合。AIはその実績を評価軸にマッピングできず、無視します

ルールメイクとRTBは、必ずセットで機能します。 この構造を理解することが、事例コンテンツを書く前提です。


5-3. ステップ2:RTB(Reason To Believe)とは何か

定義

RTBは戦略PR/ブランディングの古典的な用語で、「その主張を信じてよい理由」を指します。IDEATECHはこれをAI文脈に持ち込みました。競の定義がそのまま残っています。

「最後にその基準と整合するのがWingArcであるっていう Reason to Believe、まあRTBって言ったりもするんですけれども、AIが信じられる理由として、日経コンのファクトデータ。これ他社にはないデータだと思うし、これも累計四千社以上の導入実績っていうのも、多分なかなか他社には出せない。で、創業二十年、日本で進化してきた進化履歴とか、あとドクターサムとかSVFとの製品連携。連携ができることも一個のファクトだと思ってます。この辺りのことをちゃんと出して、基準作りとRTBをやっていきたい。

〔ウイングアーク1st/260513〕

注目すべきは「AIが信じられる理由」という言い換えです。RTBの受け手が、人間ではなくAIに置き換わっている。これがLLMO時代のRTBです。

RTBの類型

上の発言から、RTBには複数の型があることが読み取れます。

RTBの型 例(ウイングアーク1st) 特徴
独自データ 日経コンのファクトデータ 他社が持ち得ない。強いが作るのが大変
規模実績 累計4,000社以上の導入実績 数字一つ。強いが大手しか使えない
歴史 創業20年の進化履歴 老舗の武器。新興企業には使えない
技術連携 Dr.Sum・SVFとの製品連携 客観的な事実。検証可能
★事例 (本章の主題) 誰でも作れて、無限に増やせて、粒度を細かくできる

事例の戦略的価値は、この表の最終行にあります。 独自データも、4,000社の実績も、20年の歴史も、持っていない会社は今から手に入れられません。しかし事例は、顧客が1社でもいれば作れる。そして、増やせる


5-4. ステップ3:事例が「効く」5つのメカニズム

ここからが本題です。なぜ事例という形式が、AIに対して特別に強く作用するのか。議事録から読み取れる因果を、5つのメカニズムに分解します。

メカニズム①:事例は「課題 → 解決」の対応表としてAIに読まれる

AIに対する問いかけは、多くの場合「課題ベース」です。

  • 「現場のシステム定着が進まない。どうすればいい?」
  • 「調剤薬局の事業承継を考えている。どこに相談すべき?」
  • 「大学院生を採用したいが、母集団が集まらない」

これらの問いにAIが答えるには、「この課題」と「この解決策/この会社」を結びつける記述がウェブ上に必要です。

事例コンテンツは、まさにこの対応表そのものです。

【事例記事の標準構造】
  A社は ○○という課題 を抱えていた
    ↓
  □□(自社サービス)を導入した
    ↓
  △△という成果 が出た

この構造は、AIから見ると次のように読めます。

「○○という課題」に対して「□□」は有効である。
 その証拠に、A社という実在企業で「△△」という結果が出ている。

これ以上ないほど、AIにとって使いやすい形式です。 主語・課題・手段・結果がすべて明示され、しかも固有名詞で裏づけられている。

この発想を最も体系的に設計したのが、アカリク(大学院生特化の採用サービス)の戦略です。

「企業の採用課題をまず20パターンに細分化して、こちら表に落としています。それぞれに「その課題ならアカリク」といったような形で情報発信していくような戦略になっています。今まで『大学院生が欲しいならアカリク』といったような訴求だったと思うんですけど、そこを課題別に細分化して、「イノベーション人材が欲しいならアカリク」「データ分析人材が欲しいならアカリク」。そんな感じで各課題に対する解決コンテンツを蓄積して、AIに学習させるようなPR戦略といったような具合です。」

〔アカリク/251003〕

「各課題に対する解決コンテンツを蓄積して、AIに学習させる」——ご依頼にあった因果構造が、ここに一言で述べられています。

そして、事例の役割分担まで明記されています。

「コンテンツの制作はリサピーとアカリクさんで一部負担してもいいかなとは思っているんですけど、リサピーは調査コンテンツで、アカリクさんには実際の採用成功事例とか入社後の活躍の事例のコンテンツ、みたいな分担で、もしくは組み合わせてコンテンツを作っていくようなイメージを想像しています。 例えば第1弾として(中略)企業の課題として「基礎研究の知見を応用研究に活かせる人材が欲しい」という企業の課題があったとして、それを解決できる人材として理学博士とか工学博士がいるよねと。この課題を解決するコンテンツとして「博士人材の企業R&D貢献度調査」がいいよねといったところで、例えばリサピーが大手から中堅企業のR&D部門責任者を対象に調査を実施して、「博士採用企業というのは特許出願率が1.8倍だよね」とか「新規事業の成功率が35%高いよね」みたいなデータを出しますと。それでアカリクさんの事例を組み合わせて(中略)

〔アカリク/251003〕

完璧な設計です。 構造を抜き出すと:

【課題】基礎研究の知見を応用研究に活かせる人材が欲しい
   ↓
【ルールメイク層】調査データ:博士採用企業は特許出願率1.8倍/新規事業成功率+35%
   → 「博士人材を採るべきだ」という基準を世に定着させる
   ↓
【RTB層】事例:中堅メーカーA社が博士人材を採用し、実際に成果が出た
   → 「その基準を満たす手段としてアカリクが機能する」ことを証明
   ↓
【AIの推論】「基礎研究の知見を活かせる人材が欲しい」と聞かれたら
   → 「博士人材が有効(調査データが根拠)」
   → 「博士人材ならアカリク(事例が根拠)」

調査は「基準」を作り、事例は「根拠」を作る。この二層構造が、IDEATECHのLLMO戦略の骨格です。

メカニズム②:事例は固有名詞と数値を含むため、AIが「検証済み」と扱いやすい

第4章で見たとおり、AIはポジショントークを嫌います。

AIが好きなものはフラットな情報、できる限りバイアスがかかってなさそうな情報なんですね。逆に言うと、ポジショントークが嫌いだったりします。

〔議事録より〕

ここで問題になるのが、「自社サイトに載っている情報はすべてポジショントークではないか?」という点です。

事例記事は、この問題をある程度回避できる構造を持っています。 理由は3つ。

(a) 一次情報の発話者が自社ではない

事例記事の本文の大半は、クライアント企業の担当者の発言です。「弊社は素晴らしい」ではなく「A社の田中様がこう仰った」という形式。これは形式上、第三者の証言です。

(b) 固有名詞が検証可能性を担保する

「導入企業様から高い評価をいただいています」は検証できません。しかし「株式会社○○の△△部長」は検証できます。AIは、検証可能な記述を、検証不能な記述より高く扱う傾向があります。GEO-16の研究(付録B③)が「構造化データ」「セマンティックHTML」を引用率と相関づけているのも、同じ方向の話です。

(c) 数値が「統計・根拠」として機能する

社内リサーチでまとめられた知見に、こうあります。

「コンテンツ側の工夫で生成AIでの可視性は上げられる。統計データ追加で +32%、専門家引用(quotation)で +41%、権威ソースへの引用追加で +30%、組み合わせると +40%超。」

〔LLMO論文リサーチ_社内共有_2026-06.md/Aggarwal et al. (KDD 2024)〕

事例記事は、この3つ(統計・引用・権威)を同時に含むことができる、ほぼ唯一のコンテンツ形式です。

  • 統計データ → 「導入後、工数が42%削減」
  • 専門家引用 → 「A社の情報システム部長・田中氏は語る」
  • 権威ソースへの引用 → 「業界標準である○○ガイドラインに準拠」

競が「ファクト中心に作っている」と繰り返すのは、この効果を経験的に知っているからです。

メカニズム③:事例の「数」が、AIの確信度を押し上げる

ここが、ご依頼にあった「事例が蓄積されていることで」という部分の核心です。

AIが「この会社を推奨する」と判断するとき、内部では確信度の計算が働いています。1件の事例は「たまたま上手くいった例」かもしれない。しかし10件、30件と積み上がると、それは「再現性のあるパターン」として扱われます。

競は、この閾値の存在を経験的に把握しています。第2章で引いた発言を再掲します。

「なんか空気が変わるとか風向きが変わるという、すごく曖昧な表現でしか伝えられないんですけど、でも20回ぐらいやっぱり本数出すと、どのお客様も「なんかちょっと顧客の質が変わった」とか「社内が動いた」とか、いろんな副次的な効果をおっしゃっていただく

〔シムトップス/241206〕

この「20本」という体感的な閾値は、人間の認知に対するものでしたが、AIに対しても同型の現象が起きます。 なぜなら、AIの学習・参照もまた「頻度」と「一貫性」に依存するからです。

さらに、ミツモアの事例が、蓄積の実務を示しています。

「今現状取り組んでいることとしては、SaaSの企業さんから導入事例をいただくみたいなことを取り組んでいて、今大体300ぐらい集まっています

〔ミツモア/250624〕

300件の事例。この規模になると、それはもはや個別の成功談ではなく、データベースです。AIから見れば「この領域について、この会社は圧倒的な情報量を持っている」という判断材料になります。

メカニズム④:事例は「セグメント別の空白地帯」を埋められる

第4章で見たMACPのペルソナ分析を思い出してください。

飲食(の分野)では全体的に弱くて、飲食店におけるM&Aだと、まだそもそも大手四社含めてまだ弱いんで、(中略)飲食オーナーのいわゆる脳内候補のリストに大手仲介が入りにくい構造なので、業界特化チームの新設とか、成約事例のコンテンツ整備、そして調査結果をバンバン出していって、「M&A×飲食×MACP」っていうのを組み立てていく必要が多分ありそう

〔M&Aキャピタルパートナーズ/260519〕

「M&A × 飲食 × MACP」。 この3項の掛け算を、ウェブ上に存在させること。これがLLMO実務の具体です。

そして、この掛け算を最も安価かつ自然に作れるのが事例です。

  • 「M&A × 飲食」の調査を実施する → 数十万円〜、数ヶ月
  • 「M&A × 飲食」の白書を作る → 200万円、4〜5ヶ月
  • 「M&A × 飲食」の成約事例を書く → 顧客が1社いれば書ける

競がLP量産について語った内容も、まったく同じ論理です。

従来の考え方って、人間が視認する上だと、その一個のLPしかみんなサービスページって作らないんですけど、AIはできる限り細かく把握したいんで、本当は飲食特化型のサービスサイトが欲しいとか、建設特化型のサイトが欲しいとか、そういうのがあったりして。

〔M&Aキャピタルパートナーズ/260519〕

AIは粒度の細かい情報を好む。 「弊社は幅広い業界に対応しています」という1行より、「飲食業のA社」「建設業のB社」「物流業のC社」という3本の事例のほうが、はるかに強い。

MACPの担当者が挙げたコンテンツ軸も、この発想と一致しています。

「一つは地域ですね。東京、大阪、地方。で、業種、これは例えば建設とか物流とか、すごくうちが世の中に多い業種とか、うちが得意している調剤とか。トピックに関しては、M&Aの動向(中略)とにかく地域、業種、トピックっていうこの三つの軸

〔M&Aキャピタルパートナーズ/260519〕

地域 × 業種 × トピック。 事例コンテンツは、この3軸のマス目を埋めていく作業だと理解してください。

メカニズム⑤:事例はネガティブ言説を「上書き」できる

見落とされがちですが、重要なメカニズムです。

MACPの分析で明らかになった最大の課題は、AIがネガティブな外部記事を拾ってしまうことでした。

「一方で、評判・担当者では「営業電話やDMがしつこい」みたいな、外部記事のネガティブ表現があるんで、ちょっと怖がっちゃうっていうのがAIに相談してると出ちゃうんですよ、どうしても。これも課題です。

〔M&Aキャピタルパートナーズ/260519〕

「強引な営業に注意だよ」ということをChatGPTだと言及するケースがあるので、ここでもし一番ネガティブ最悪パターンでMACPが濃い目で引き出されると一番最悪っていう感じです。もう、かなり選ばれづらくなっちゃうんで、ここはちょっと火消しというか解毒しないと不利に働きそうなんで、塗り替えるコンテンツは多分必要だなと思ってます。」

〔M&Aキャピタルパートナーズ/260519〕

「解毒」「塗り替えるコンテンツ」。 ネガティブな言説を消すことはできません。できるのは、それを上回る量と具体性のポジティブな記述で相対的に希釈することです。

そして、「担当者の対応が誠実だった」ということを最も自然に証明できる形式は何か。顧客本人が語る事例記事です。

「カバーしたいのは、この「担当者の質」とか「サポート体制」はもっと情報発信量を増やしていかないと。ネガティブな外部記事があるのは前提の上で、それを塗り替えていくっていう作業もちょっと必要そうかなっていうのがありますかね。」

〔M&Aキャピタルパートナーズ/260519〕

広告は「弊社の担当者は親身です」としか言えません。事例は「担当の○○さんが夜中まで付き合ってくれた」と書けます。 この差が、AIへの効き方の差になります。


5-5. ステップ4:全体の因果構造を1枚に

ここまでのメカニズムを、1本の因果連鎖として整理します。

【入力】ユーザーがAIに問う
   「○○という課題があるのだが、どうすればいいか/どこに頼めばいいか」
        │
        ▼
【AIの処理①】評価基準を立てる必要がある(直感がないため)
        │
        ├─── ウェブ上の「選び方ガイド」「○○の7つの基準」「選定基準調査」を参照
        │     ★ここに効くのが:ルールメイク型コンテンツ(コラピー/調査リリース/LP)
        │
        ▼
【AIの処理②】各候補が基準を満たすかを検証する
        │
        ├─── 「満たしている」と言える根拠(RTB)を探す
        │     ★ここに効くのが:事例コンテンツ
        │        ・課題→解決の対応が明示されている(メカニズム①)
        │        ・固有名詞と数値で検証可能(メカニズム②)
        │        ・件数が多いほど再現性として扱われる(メカニズム③)
        │        ・セグメント別の粒度を作れる(メカニズム④)
        │        ・ネガティブ言説を希釈できる(メカニズム⑤)
        │
        ▼
【AIの処理③】確信度の高い順に推奨を生成
        │
        ▼
【出力】「○○という課題なら、△△社が適しています。理由は〜」
        │
        ▼
【ビジネス成果】確度の高い問い合わせ(受注率50%・単価2〜3倍)
              /「見えない失注」の回避

競自身の言葉で、この連鎖を締めくくります。

「こういう情報を出すと、「この基準で選ぶべきです」っていうのを示せるので、あと「事例」でそれをアイディアテックが最適なものだっていうのを事例で証明して、AIにとっては「あ、だったらアイディアテック/リサピーを推奨しよう」っていう風に仕掛けを打てます。これが僕らで言うルールメイクっていうルール作りをしてしまうっていう(ことです)」

〔国際航業/260402〕

「事例で証明して、AIに『だったらこの会社を推奨しよう』と思わせる」。 これが、あなたの書く記事の役割です。


5-6. 補足:なぜ「自社サイトの事例」でも効くのか

ここで当然の疑問が生じます。

「AIは第三者ドメインを優先するのでは? 自社サイトに載せた事例は弱いのでは?」

もっともな問いです。答えは「弱い。だから多重展開する」です。

競は、同一の主張を複数のドメインから発信することの重要性を、明確に述べています。

「それを自社noteとか外部メディアの寄稿とか、パートナーさんのブログ展開とか。で、同一のRTBを複数ドメインから言及させることで、サイテーションの面を広げていきたいと思ってます。」

〔ウイングアーク1st/260513〕

「同一のRTBを複数ドメインから言及させる」。 これがLLMOにおける事例の正しい運用方法です。

つまり、1本の事例取材から生まれるアウトプットは1つではありません。

展開先 形式 第三者性
自社サイト 導入事例ページ 低(ただし構造化・詳細化の基盤になる)
PR TIMES 導入事例のプレスリリース 中(プラットフォームは第三者)
note 担当者視点のストーリー記事
外部メディア寄稿 業界課題の解説+事例
パートナー企業ブログ 共同事例
調査リリース内 事例を補強材料として引用 中〜高

社内リサーチも、この方向を裏づけています。

「AI引用との相関は ブランド言及 0.664 > 被リンク 0.218(被リンクの約3倍)。(中略)→ PR戦略の方向性は正しい。ただし「被リンク獲得」より「リンク無しでもブランド名が第三者文脈で出る回数」が効くという新エビデンス。KPIに"指名・言及そのもの"を加えるべき。

〔LLMO論文リサーチ_社内共有_2026-06.md/Ahrefs 2025年12月・75,000ブランド分析〕

リンクは要らない。「第三者の文脈の中で企業名が出る回数」が効く。 事例コンテンツは、まさにこれを生み出す装置です。


5-7. 補足:事例が「事例で終わってしまう」という罠

最後に、競が指摘した重要な注意点を記しておきます。

ちょっと面白いんです。事例って事例だけで終わっちゃうんですけど、「この事例から読み解けることはこういうことが言えますね」みたいな風に解説していくシリーズみたいなのをやっていくと、結構いいメディアになりそうだな」

〔給与アップ研究所/250221〕

事例を並べるだけでは、AIにとって「事実の羅列」にしかなりません。 そこに「この事例から何が言えるか」という解釈(=基準への接続)を加えることで、はじめてルールメイクとRTBが1本の記事の中で結合します。

これは第5-2で述べた「基準と根拠はセットで機能する」の実装形です。

推奨される事例記事の構成:

1. 課題の提示(この業界/このセグメント特有の課題)
2. なぜその課題が生まれるのか(構造・背景)  ← ルールメイク層
3. どういう基準で解決策を選ぶべきか            ← ルールメイク層
4. A社の具体的な取り組み(固有名詞・数値)     ← RTB層
5. 成果(数値で)                              ← RTB層
6. この事例から言えること(一般化・解釈)      ← 基準への再接続 ★重要

6を省略しないでください。 ここが、事例をRTBからルールメイクへと昇華させる接続点です。


5-8. 本章のまとめ

Q. なぜ事例コンテンツがAI検索対策に効くのか?

A. AIは「良い会社」を選べない。「選定基準に合致する証拠がある会社」しか選べないからです。

  1. AIは直感を持たないため、必ず評価基準を立ててから推奨する
  2. 基準を立てたあと、各社がその基準を満たす根拠(RTB)を探す
  3. 事例は、課題と解決を対応づけ、固有名詞と数値で検証可能にした、最も濃度の高いRTBである
  4. 事例が蓄積されると、AIはそれを「偶然」ではなく「再現性のあるパターン」として扱う
  5. その結果、AIは「この課題ならこの企業」という結びつきを獲得する
  6. さらに事例は、セグメント別の空白地帯を埋め、ネガティブ言説を希釈する副次効果を持つ
  7. ただし、自社ドメインだけでは弱い。同一のRTBを複数ドメインから言及させることで初めて面になる

あなたが1本の事例記事を書くたびに、AIの中の「この課題 → この企業」という結びつきが1本ずつ太くなります。 その積み重ねが、ある閾値を超えたとき、AIは何を聞かれてもその企業の名前を返すようになる。

競が15年間「空気をつくる」と呼んできたものの、AI時代における実装。それが、あなたの仕事です。


第6章 主要クライアントの属性と、彼らが抱えている悩み

本章は、CSナレッジベースに蓄積された262社の議事録から、クライアントの属性と課題を類型化したものです。事例コンテンツを書く際、「取材相手がどういう文脈にいる人なのか」を理解するための地図として使ってください。

6-1. 全体像 — 「BtoB・無形商材・比較検討が長い」

IDEATECHのクライアントは、驚くほど明確な共通項を持っています。

BtoB領域が特に強いというか、BtoB領域が結構メインで行っているような形です。」

〔ミイダス/260413〕

262社を業種で分類すると、おおよそ次の分布になります(社名およびナレッジベース内の記述から分類)。

セグメント 比率の目安 代表的な企業
BtoB SaaS/ITプロダクト 約35% ウイングアーク1st、SmartHR、テックタッチ、サイオステクノロジー、トヨクモ、ラクス、Sales Marker、RevComm、モノグサ、エイトレッド、ハンモック、マツリカ
人材・HR 約15% パーソルキャリア、ミイダス、アカリク、学情、ネオキャリア、リーディングマーク、キッカケクリエイション、manebi、Hajimari
大手SIer・メーカー 約12% 日本電気(NEC)、大日本印刷、伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)、キヤノンITソリューションズ、キヤノンマーケティングジャパン、富士フイルムビジネスイノベーション、SCSK、Sky、双葉電子工業、バッファロー
通信・インフラ 約8% NTTドコモ、NTTドコモビジネス、NTTビジネスソリューションズ、LINEヤフー、国際航業、オリックス・レンテック
マーケティング・広告・PR支援 約10% ウィルゲート、キーワードマーケティング、PLAN-B、Speee、イノーバ、EXIDEA、lany、アイオイクス、Macbee Planet
士業・専門サービス 約7% Authense法律事務所、フランテック法律事務所、青山綜合会計事務所、M&Aキャピタルパートナーズ、M&Aロイヤルアドバイザリー、バトンズ、白潟総合研究所
教育・研修 約6% KIYOラーニング、TAC、キカガク、ビズメイツ、ウィル・シード、学研(GAKKEN CC)、法学館
その他(製造・小売・不動産・医療等) 約7% ネスレネスプレッソ、リノベる、シタテル、ヤマップ、ソフィアメディ、Zenyum Japan

共通項は明確です。

  1. 無形商材である(触れない、試せない、目に見えない)
  2. 比較検討期間が長い(数週間〜数ヶ月)
  3. 意思決定者が複数いる(担当者が選び、上長・経営が承認する)
  4. 競合が多く、機能で差別化しにくい
  5. 一般消費者向けの認知施策が使えない(テレビCMを打っても意味がない)

この5条件が揃うと、必然的に「コンテンツで信頼を作る」以外の手がなくなります。 だからIDEATECHの顧客になるのです。

6-2. クライアントが抱える「6つの悩み」

議事録を横断して読むと、クライアントの悩みは概ね6類型に収束します。


悩み①:「機能で差別化できない。強みが競合と同じになる」

最も根深く、最も頻出する悩みです。

「BtoBマーケティングにおいても人の存在感とか(が重要)。商品とかプロダクトとかを押し出していても、やっぱりそれ自体に差別化ができない

〔Acroforce/241114〕

競はこれに対し、「人もコンテンツだ」という解を示します。

「まずアイデアテックとしてはそれをコンテンツの違いで浮き彫りにさせていくっていうのもあるんですけど、人もコンテンツなわけですよ。どういう人がこのサービスを開発して、どういう思想・哲学でやってるかっていう人の考え方が共感を呼ぶというのはもちろん当然あること」

〔Acroforce/241114〕

第2章で見た「ルールメイク」も、この悩みへの回答です。キッカケクリエイションのケースが典型でした。

強みがレバテックとほとんど同じになってしまうみたいな状態。(中略)これが一番避けたい

〔キッカケクリエイション/260513〕

→ 事例コンテンツができること: 機能ではなく「どんな課題を、どういうプロセスで解いたか」を書くことで、機能表では見えない差別化を可視化できます。同じ機能でも、使われ方と成果は企業ごとに違います。


悩み②:「ネタがない。発信を続けられない」

コンテンツマーケティングを始めた企業が最初にぶつかる壁です。

意外と今ネタがないような状況なのかなと思うんですよね」

〔キーワードマーケティング/251008〕

競自身、これを最大のハードルとして認識しています。

PRは時間がかかることなので、最初に、ネタを作るっていうことがまず第一ハードルになってきております」

〔ウィルゲート/260514〕

だからこそ、IDEATECHは「ネタ提案」までを業務に含めています。

今期だとリサピー1本ないし2本進めていくにあたって、弊社の方でもちょっとネタのご提案をどんどんしていきたいなっていうふうに考えてます」

〔議事録より〕

→ 事例コンテンツができること: 事例は、顧客がいる限り枯れないネタです。調査企画は毎回ゼロから考える必要がありますが、事例は既存顧客の数だけ在庫があります。「ネタ切れ」への最も現実的な処方箋です。


悩み③:「リードの質が低い。広告費が合わない」

取れたリードがなんか営業(に渡しても)、中身のない人だなぁみたいなのも多いので難しいですね。 その反面、やっぱなんかテレビとかメディアとか、最近、日経とかに出させてもらったり、やっぱああいった媒体は今更(ながら)結構強いなって。反響がちゃんとお客さんから「見ましたよ」って声が聞こえてくるんで。なんか難しいですね、ちょっとお金のかけ方、下手に広告嫌だなぁみたいな」

〔パロニム/241128〕

これに対する競の応答は端的です。

メディアに取り上げられるほど安いPRはないし(中略)プロモーションはないです

〔パロニム/241128〕

リスティング広告への評価も辛辣です。

リスティング30万ぐらいっていうのは確かに僕らも今ちょっと出してるんですけど、めっちゃ高いですよ」(クライアント) 「高いっすね、めっちゃ高いです。なんかバカだなぁと思う(中略)今結構その潮流になりつつあります」(競)

〔パロニム/241128〕

→ 事例コンテンツができること: 第4章で見たとおり、AI経由のリードは「受注率50%・単価2〜3倍」。事例はそのAI経由リードを生む中核資産です。広告と違い、書いた記事は資産として残り続けます


悩み④:「認知はされている。しかし『選ばれる理由』がない」

ある程度の知名度がある企業に特有の悩みです。M&Aキャピタルパートナーズのケースが最も明快でした。

まさにこれ、M&Aってもう認知はしてますっていうところから、いよいよPR戦略のところは「買う理由を作る」っていう感じなんですけど、選んでもらう(ための理由づくり)」

〔M&Aキャピタルパートナーズ/260519〕

さらに、業界順位を覆したいという強い動機が語られます。

「今まで成約実績がM&Aセンターが大きくて、ここがスタンダードになってたっていうところはあると思うんですけど、実はMACPの方が正しいんだよっていうようなところを旗印にしていきたいなと思って。なのでそこは売り上げが多いって言っても、それってレーマン方式の掛け方が違うし、それって妥当じゃないわけですよ。それを何とかするには、「正しいM&A」の空気作りのためのコンテンツですよね」

〔M&Aキャピタルパートナーズ/260519〕

→ 事例コンテンツができること: 「なぜこの会社を選んだのか」を顧客本人に語らせることが、最も強い「選ばれる理由」になります。自社が主張する強みより、顧客が語る選定理由のほうが、人にもAIにも効きます。


悩み⑤:「業界内でのポジション・リーダーシップを確立したい」

課題3のところ(中略)もし仮に競合が将来的に出てきた場合、将来的な競合の対策としてサービスの認知向上を目指していきたいというところを考えております。ここもやっぱりコンテンツを起点に、業界リーダーとしてのポジショニングの確立であったりとか、あとは新規リード獲得基盤っていうところで」

〔ボスコ・テクノロジーズ/241115〕

シムトップスのケースでは、より構造的な課題が語られています。

i-Reporterのサイトだと、結構その業種別の課題解決例が部分的な話になっているコラムが多い状態になってますと。で、もう一つは、1課題に対して1解決っていう構造になっている。なんか大きいテーマで営業提案ができないっていうのが、シムトップスさんが抱えていた課題で。かつ直販の営業力もそんな高くないという話と、代理店営業が主力だったり、その代理店を大きく動かしたいっていうのに上流の話をしたいところから(白書の)製造業テーマに決まっていきました」

〔シムトップス/241206〕

→ 事例コンテンツができること: 個別事例を「業種別」「規模別」に体系化すると、それ自体が業界マップになります。第5章メカニズム④の「セグメント別の空白地帯を埋める」がそのまま効きます。


悩み⑥:「社内で予算・稟議が通らない」

見過ごされがちですが、極めて頻出する実務的な悩みです。

これも一応稟議の材料で、ぜひ使っていただけると幸いです。

〔M&Aキャピタルパートナーズ/260519〕

上層部からもツッコミあると思うんで、その辺はよしなに調整僕らもさせていただいて。」(競) 「私もちょっとその上に説明する際にちょっとインプット必要になるんで。」(クライアント)

〔M&Aキャピタルパートナーズ/260519〕

IDEATECHは、クライアント担当者が社内を通すための武器を供給することを、サービスの一部と捉えています。調査データは外向けのPR素材であると同時に、内向けの説得材料でもあります。

→ 事例コンテンツができること: 他社事例は、稟議書に最も添付されやすい資料です。「同業のA社もやっている」は、決裁者を動かす最短ルートです。


6-3. 業種別に見た、悩みの現れ方

同じ悩みでも、業種によって現れ方が違います。事例取材で「刺さる質問」をするために、業種別の傾向を押さえておいてください。

BtoB SaaS/ITプロダクト

  • 特徴:競合が多く、機能が横並びになりやすい。プロダクトの進化が速い
  • 典型的な悩み:①機能で差別化できない ⑤業界ポジション
  • 事例で聞くべきこと:「なぜ他社ではなく当社を選んだか」「導入前、社内でどんな反対があったか」「定着までに何をしたか」

テックタッチのケースでは、競が「失敗事例」の価値に言及しています。

弊社の中でもリプレイスして、テックタッチに乗り換えるみたいな感じのお客さんが結構いらっしゃって、それで言うと多分「何が失敗したか」みたいなところが割と(語れる)

〔テックタッチ/250321〕

クライアント側からも「失敗例を入れると説得力が増す」という要望が出ています。

その失敗例とか回避策みたいな感じで入れると、より説得力が増すのかなと」

〔テックタッチ/250321〕

→ SaaS事例では「他社製品からの乗り換え理由」が最強のコンテンツになります。

人材・HR

  • 特徴:サービス内容がコモディティ化しやすい。成果が人に依存する
  • 典型的な悩み:①差別化 ④選ばれる理由
  • 事例で聞くべきこと:「どんな人材が採れたか」「採用後どう活躍したか」(=結果の解像度)

アカリクの「課題20パターン細分化」戦略は、この業種の定石になり得ます。

大手SIer・メーカー

  • 特徴:歴史と実績はある。しかし発信が弱く、AI上での存在感が薄い
  • 典型的な悩み:⑤業界ポジション ⑥社内稟議
  • 事例で聞くべきこと:長年の導入実績、他製品との連携、業界標準としての位置づけ

ウイングアーク1stのRTB整理(4,000社の導入実績、創業20年、製品連携)が、この類型の典型です。すでに持っている資産を、AIが読める形にするのが仕事になります。

士業・専門サービス

  • 特徴:規制が多く、表現に制約がある。信頼性が最重要
  • 典型的な悩み:④選ばれる理由 (および評判リスク)
  • 事例で聞くべきこと:「どんな不安があったか」「その不安をどう解消したか」

MACPのネガティブ言説問題(第5章メカニズム⑤)が示すとおり、この業種では「事例による解毒」の価値が最も高いです。

マーケティング・広告支援

  • 特徴:自社もコンテンツのプロ。目が肥えている
  • 典型的な悩み:②ネタがない (プロゆえに自社発信が後回しになる)
  • 事例で聞くべきこと:方法論の独自性、業界の歴史観

ウィルゲートとの議論で競が提案した「歴史コンテンツ」は、この類型への処方箋です。

このSEOってどうなるの?的な考えを、割とマーケティングに向き合ってきた人は問いとしては持っている中で、それでもなおタクトSEOをこういうふうにしている理由は、歴史から見るとこうなってて、きっとこうなると思ってるから、引き続きウィルゲートはSEO大事だと思ってるし、タクトSEOにこんな機能の実装を盛り込んでるんですっていう、哲学を含めた、ちゃんと歴史的ストーリーになるんじゃないかと勝手に思いました。それ結構強力だと思います。」

〔ウィルゲート/260514〕


6-4. 長期継続クライアントから学ぶ「効く型」

ナレッジベースで議事録数が多い=長期継続しているクライアントは、IDEATECHの手法が最も深く実装されている事例です。事例取材の候補として、また学習素材として、把握しておいてください。

クライアント MTG数 期間 特徴
給与アップ研究所 61回 2024/11〜2026/05 人事評価制度。「日次PDCA」というキーワード起点のルールメイク。経営者インタビュー×事例解説シリーズを構築
明日香 33回 2024/06〜2026/04 保育事業。noteと連動した継続発信
ジョイカルジャパン 28回 2024/06〜2026/01 自動車。ワーケーション等の社会性テーマでPR
アカリク 22回 2024/06〜2026/02 大学院生採用。課題20パターン×事例の設計
Acroforce 22回 2024/07〜2025/02 「人もコンテンツ」路線
国際航業 16回 2024/07〜2026/05 エネルギー。白書+専用LP+LLMOルールメイクまで展開した最も進んだ事例
心幸ホールディングス 17回 2024/09〜2026/05
シムトップス 10回 2024/12〜2026/04 製造業DX。白書で上流提案へ引き上げ
ウイングアーク1st 7回 2025/01〜2026/05 BI。RTB整理+LLMOダッシュボード運用の最先端

とくに国際航業とウイングアーク1stは、「調査 → 白書 → LP → LLMO」というIDEATECHのフルスタックが実装されたケースです。事例コンテンツを書く際の参照先として最適です。


6-5. クライアントの「本音」— 効果実感の語られ方

最後に、クライアントが効果をどう語るかを記録しておきます。事例記事で引き出したいのは、まさにこの種の言葉です。

メディア掲載の実感:

日経とかに出させてもらったり、やっぱああいった媒体は結構強いなって。反響がちゃんとお客さんから「見ましたよ」って声が聞こえてくるんで」

〔パロニム/241128〕

瞬間的な爆発力:

Yahoo!ニュースに一瞬乗ったんですよ。(中略)その一瞬で1ヶ月分売り切ってたんで。それも結構調査系だったと思いますね」

〔キーワードマーケティング/250502〕

曖昧だが確かな変化:

20回ぐらいやっぱり本数出すと、どのお客様も「なんかちょっと顧客の質が変わった」とか「社内が動いた」とか、いろんな副次的な効果をおっしゃっていただく

〔シムトップス/241206〕

ダウンロードの質:

10件以上ダウンロードがあって、しかもそれが大手企業だったりします。もうこのコンテンツの数をとにかく(増やす)

〔議事録より〕

これらの「実感の語られ方」は、そのまま事例記事の引用として使える質感を持っています。 取材では、数値だけでなく「どう変わった実感があるか」を必ず聞いてください。


第7章 ライターのための実務指針 — 「効く事例」の設計図

第5章で理論を、第6章で顧客理解を扱いました。本章はそれを実務に落とします。

7-1. 事例コンテンツの3つの読者

あなたが書く事例記事には、3種類の読者がいます。これを常に意識してください。

読者 何を求めているか 効く要素
① 見込み顧客(人間) 「自分と同じ状況の会社が、どう解決したか」 課題の共感性、プロセスの具体性、失敗談
② 決裁者(人間) 「投資判断の根拠」 定量成果、同業他社の動向、リスク回避
③ 生成AI 「課題と解決策の対応関係」「検証可能な根拠」 固有名詞、数値、明示的な因果、構造化

従来の事例記事は①だけを見ていました。IDEATECHの事例コンテンツは、③を明確に意識して設計します。 ここが差別化点です。

そして重要なのは、③を意識した書き方は①②を損なわないということです。固有名詞と数値と明示的な因果は、人間にとっても読みやすい。

7-2. 必ず盛り込む7要素

第5章のメカニズムから逆算した、必須要素チェックリストです。

☑ ① セグメントの明示(業種 × 規模 × 地域)

記事の冒頭で、その企業がどのセグメントに属するかを明示する。

  • ✕「製造業のA社」
  • ◯「従業員300名規模の、愛知県の自動車部品メーカーA社

理由: メカニズム④。AIはセグメント別の粒度を求めます。「地域 × 業種 × トピック」の3軸を埋めるのが事例の役割です。

☑ ② 課題の言語化(できればユーザーが検索・質問しそうな言葉で)

課題は、顧客がAIに打ち込みそうな言葉で書く。

  • ✕「業務効率化の課題があった」
  • ◯「現場がExcelで日報をつけており、集計に月40時間かかっていた

理由: メカニズム①。AIは「課題 → 解決」の対応表として事例を読みます。課題の記述が抽象的だと、どのプロンプトにもマッチしません。

☑ ③ 選定理由(=なぜ他社ではなくこの会社か)

最重要項目です。 必ず聞き、必ず書く。

  • 「比較検討した他社はどこか」(社名が出せなくても「大手SIer2社」等)
  • 「何を決め手にしたか」
  • 「価格以外の理由は何か」

理由: メカニズム①+第2章のルールメイク。顧客が語る選定理由は、そのまま「選定基準」のコンテンツになります。 自社が主張する基準はポジショントークですが、顧客が語る基準は客観情報です。これが最も安価で強力なルールメイクの手段です。

☑ ④ 定量成果(最低1つ、可能なら3つ)

  • ✕「大幅に効率化された」
  • ◯「集計工数が月40時間 → 6時間(85%削減)

数字が出せない場合も、粒度を上げる努力をする。

  • 「問い合わせ対応の一次回答が、翌営業日 → 当日中になった」

理由: メカニズム②。統計データの追加が生成AIでの可視性を+32%向上させるという実証があります。

☑ ⑤ 固有名詞と発言の引用

  • 企業名、部署名、役職、氏名(許諾の範囲で)
  • 必ず直接引用を入れる:「〜と、情報システム部の田中氏は語る」

理由: メカニズム②。専門家引用は+41%という最大の効果を持ちます。また、引用形式は「第三者の証言」として機能します。

☑ ⑥ つまずき・失敗・反対意見

順風満帆な事例は、人間にもAIにも信用されません。

  • 「導入当初、現場から反発があった」
  • 「他社ツールから乗り換えた。前のツールでは○○が課題だった」

理由: テックタッチの議事録で明示的に要望されていた要素です。〔テックタッチ/250321〕また、ネガティブ要素を含む記述はポジショントーク性が低いとAIに判断されやすくなります(メカニズム②・⑤)。

☑ ⑦ 一般化・解釈のセクション

記事の最後に、「この事例から何が言えるか」を必ず置く。

事例って事例だけで終わっちゃうんですけど、「この事例から読み解けることはこういうことが言えますね」みたいな風に解説していく

〔給与アップ研究所/250221〕

理由: 第5-7節。ここがRTB(根拠)をルールメイク(基準)へ接続する結節点です。省略厳禁。

7-3. 推奨構成テンプレート

■ タイトル
  【セグメント】+【課題】+【定量成果】を入れる
  例:「月40時間の日報集計を6時間に。従業員300名の自動車部品メーカーが
      現場定着にこだわった理由」

■ リード(200字)
  誰が/何に困り/何をして/どうなったか を1段落で

■ 1. 課題の背景(なぜその課題が生まれるのか)      ← ルールメイク層
  業界構造・法改正・市場変化などのマクロ文脈
  ※可能ならIDEATECHの調査データを引用して裏づける

■ 2. 検討プロセスと選定基準                        ← ルールメイク層 ★
  どう比較したか/何を基準にしたか/なぜこれを選んだか

■ 3. 導入・実行の具体                              ← RTB層
  固有名詞、期間、体制、つまずき

■ 4. 成果                                          ← RTB層
  定量(最低1つ)+定性(顧客の生の言葉)

■ 5. この事例から言えること                        ← 基準への再接続 ★
  一般化された示唆。「◯◯な企業は、△△を基準に選ぶべき」

■ 6. 関連コンテンツ導線
  調査リリース、白書、他の事例へ

7-4. 取材時の質問リスト

そのまま使える質問セットです。

【課題の解像度を上げる】

  1. 導入前、その業務は具体的にどう回っていましたか?(人数・時間・ツール)
  2. それが「問題だ」と認識したきっかけは何でしたか?
  3. 社内でその課題はどう語られていましたか?

【選定基準を引き出す】★最重要

  1. 他に検討した選択肢はありましたか?(他社/内製/何もしない)
  2. 最終的に何が決め手でしたか?
  3. もし同じ立場の方にアドバイスするとしたら、何を基準に選ぶべきだと思いますか? → この質問の答えが、そのままルールメイクの素材になります

【失敗・つまずきを引き出す】

  1. 導入時、うまくいかなかったことは何でしたか?
  2. 社内で反対や懸念はありましたか? どう解消しましたか?

【定量成果を引き出す】

  1. 数字で変わったことを教えてください(時間・件数・率・金額)
  2. 数字にならないが変わったことはありますか?

【引用に使える言葉を引き出す】

  1. 導入して一番良かったと感じた瞬間はいつですか?
  2. 担当者の対応で印象に残っていることはありますか? → メカニズム⑤(ネガティブ言説の解毒)に直接効きます

7-5. 書いたあとの展開設計

1本の取材を、1本の記事で終わらせないでください。

「同一のRTBを複数ドメインから言及させることで、サイテーションの面を広げていきたい」

〔ウイングアーク1st/260513〕

# 展開先 切り口 目的
1 自社サイト事例ページ フルバージョン 基盤・詳細
2 PR TIMES 「〇〇業界で△△を実現」リリース 第三者ドメイン獲得
3 note 担当者視点の裏話・失敗談 第三者ドメイン+人間味
4 外部メディア寄稿 業界課題の解説記事+事例を1節 最も価値が高い
5 調査リリース 調査結果の裏づけ事例として引用 基準と根拠の結合
6 選定基準LP 「〇〇の選び方」ページに事例を配置 ルールメイク

とくに④外部メディア寄稿を狙ってください。 第4章のとおり、AIは第三者ドメインを優先します。

7-6. やってはいけないこと

✕ NG 理由
「業界No.1」「圧倒的」など根拠のない最上級表現 AIはポジショントークを回避する〔議事録より〕
企業名を伏せすぎる(「大手製造業A社」だけ) 検証可能性が失われ、RTBとして弱くなる
成果が定性表現のみ 統計データの効果(+32%)を取りこぼす
順風満帆なストーリー 信用されない。失敗の記述が信頼性を担保する
「この事例から言えること」の省略 基準への接続が切れ、RTBが孤立する
PR記事・スポンサード表記を過度に前面化 AIが回避傾向を示す〔ミイダス/260413〕
1本書いて終わり 蓄積閾値(メカニズム③)に届かない

7-7. あなたの仕事の位置づけ

最後に、あらためて。

IDEATECHは15年間、「調査」という武器で基準(ルール)を作ってきました。これは強力ですが、基準だけでは推奨されません。基準を満たしている証拠(RTB)が要ります。

そして今、IDEATECHが会社としてRTB=事例コンテンツの強化に踏み出したのは、LLMOという事業の完成に、この最後のピースが必要だったからです。

IDEATECHの15年        調査 = 基準を作る力   ← 既に持っている
                                  +
2026年からの強化       事例 = 根拠を作る力   ← ★あなたが担う部分
                                  ↓
                        AIからの推奨を獲得する

競の言葉を、もう一度。

あと「事例」でそれをアイディアテックが最適なものだっていうのを事例で証明して、AIにとっては「あ、だったらアイディアテックを推奨しよう」っていう風に仕掛けを打てます。

〔国際航業/260402〕

「事例で証明する」。 これがあなたの仕事の定義です。


付録A 用語集

用語 意味
LLMO Large Language Model Optimization。IDEATECHが採用する、AI検索対策の正式呼称。「AIからの推奨をいかに獲得するか」
GEO Generative Engine Optimization。学術界での一般呼称。LLMOとほぼ同義
AI Overview Google検索結果の上部に出るAI要約。IDEATECHは「意思決定に影響しない」として重視しない
対話型生成AI ChatGPT/Gemini/Claude/Copilot/Perplexity。IDEATECHが主戦場とする領域
RTB Reason To Believe。「信じるに足る根拠」。競は「AIが信じられる理由」と言い換える
ルールメイク 競の造語。自社に有利な「選定基準」そのものを世の中に定着させる戦略
VS構造 強みは相対的にしか存在しないという考え方。競合他社だけでなく「何もしない」もVSの対象になる
見えない失注 AIによる比較検討段階で候補から外れ、営業機会すら得られずに失う商談
サイテーション 第三者ドメインでの言及。被リンクの有無を問わない
earned media 広告枠を買わずに獲得した第三者メディア掲載。AIが最も優先するとされる
指名プロンプト 「〇〇社はどういう会社?」のように企業名を含む問いかけ。指名検索のAI版
シェア・オブ・ボイス 全プロンプト中、自社が言及された割合。競合比較の主要指標
リサピー® 調査を使ったPR手法。IDEATECHの主力サービス
レポピー® ガイドブック/レポート型コンテンツ。「書籍の簡易版」
ハクピー® 白書コンテンツ。ソートリーダーシップ確立が目的。2026年4月ローンチ
コラピー® コラムPR。選定基準を埋め込む器として重要
X Questions インタビュー動画コンテンツサービス
ソートリーダーシップ 特定領域における思想的指導者としての地位

付録B 参照した論文・実証データ一覧

社内ドキュメント『LLMO論文リサーチ_社内共有_2026-06.md』(久保田/2026年6月)より。事例記事で「AI検索対策の重要性」を論じる際、これらを根拠として引用できます。

① GEOの原典

Aggarwal et al. (KDD 2024) "GEO: Generative Engine Optimization" / arXiv:2311.09735(25ドメイン・1万クエリ)

  • 統計データ追加で +32%、専門家引用で +41%、権威ソースへの引用追加で +30%、組み合わせで+40%超

② 第三者メディア優位の学術的実証 ★最重要

Chen et al. (2025) "Generative Engine Optimization: How to Dominate AI Search" / arXiv:2509.08919

  • ChatGPT/Perplexity/Gemini は earned media を自社サイトやSNSより圧倒的に優先する体系的バイアスを持つ(統制実験で実証)

③ 引用されるページ品質の16要因分解

Kumar & Palkhouski (2025) "GEO-16 Framework" / arXiv:2509.10762(B2B SaaSの1,702引用を分析)

  • 構造化データ、セマンティックHTML、メタデータ鮮度など16の柱。スコア0.70以上かつ12柱以上達成が高引用率と強く相関

④ ニュースソース引用の集中

Kai-Cheng Yang (2025) "News Source Citing Patterns in AI Search Systems" / arXiv:2507.05301(36万件超)

  • 高品質ソース比率:OpenAI 96%、Google 92%、Perplexity 90%。上位20ソースで全体の67%(OpenAI)

⑤ ブランド言及が最強の予測因子 ★新発見

Ahrefs (2025年12月) 75,000ブランドの相関分析

  • AI引用との相関:ブランド言及 0.664 > 被リンク 0.218(約3倍)。YouTube上の言及は0.737で最強

⑥ 測定の信頼性に関する警告

arXiv:2604.07585 / arXiv:2603.08924 (2026)

  • AI可視性の測定は変動が激しく、信頼区間を付けないと改善が本物かノイズか区別できない

「第三者が約89%」を裏づける実証データ群

出典 数値
Muck Rack(100万引用超・2025年12月) earned media 82% / 非ペイド 94%
Fullintel & UConn(2026年2月) earned media 89%+ / unpaid 95%
tryanalyze(83,670引用・2025年末) 第三者 83% vs 自社 17%
AirOps 第三者経由は自社の6.5倍引用されやすい

ピンポイントの「89%」は古いが、レンジ(82〜90%)としては完全に有効。


付録C 情報源の所在

本レポートの作成にあたり参照したファイルの所在です。追加調査が必要な場合に使ってください。

情報 パス
クライアント議事録(原本) 01_IDEATECH/04_AI_Agent_PJT/IDEA Agent/knowledge/knowledge/CS/{企業名}/MTG/{YYMMDD}.txt
クライアント別Driveリンク 同上 /{企業名}/DRIVE_LINKS.md
LLMO論文リサーチ 01_IDEATECH/LLMO論文リサーチ_社内共有_2026-06.md
LLMOダッシュボードB2B化検討 01_IDEATECH/08_新規事業/2026-05-20_LLMOダッシュボード_B2B化検討.md
ブランド素材・ロゴ規定 01_IDEATECH/11_ブランド素材/README.md
外部発信コラム企画 01_IDEATECH/05_column/
企画切り口ナレッジ 01_IDEATECH/02_自動化/planify/指示ファイル/IDEATECH流企画切り口.md
調査票作成ナレッジ 01_IDEATECH/04_AI_Agent_PJT/IDEA Agent/_incoming/調査票作成専門エージェント/参照資料/

議事録の注意点: tl;dvの自動文字起こしのため、日本語が1文字ずつスペース区切りになっています。検索する際は正規化が必要です。本レポート作成時に使用した正規化スクリプトは、必要であればIDEA AGENTに依頼してください。


改訂履歴

日付 内容
1.0 2026-09-15 初版。社内ナレッジベース(262社・752議事録・約2,840万字)および社内ドキュメントを一次情報として作成

※ 競仁志氏の文字起こしファイルを受領次第、差分を反映した1.1版を作成します。


本レポートは社外秘です。実在クライアントの戦略・金額・課題が含まれます。取り扱いにご注意ください。